出立

2人から、契約者召喚までの本来のプロセスを

聞いた私は驚愕した。


「それじゃ、私は何のために、誰に呼び出されたの?」

「それが分かんねぇから、こうして地道に情報収集してんだよ」


そんな理由があったとは…。


私としては、ただ目立ちたくないから

正体を隠したかっただけなのに

これでは正体がバレた途端、最悪の場合

命を狙われる危険性まで出て来たじゃないか!


「これから先、何があるかは分からないけど、今まで通りなるべく私達の正体は明かさない方がいいと思うわ」

「契約者を我が物にして、神の力を利用しようと企む輩が結構いる」

「結構いるんだ…。じゃぁ、私を召喚したやつもそうなのかな?」

「可能性は高い。召喚主も転送場所に俺達の意志が介在するとは思ってなかっただろうが、用心するに越したことはない」

「…ねぇ、レオさんとラインさんもそれを分かってて箝口令を敷いてくれたのかな?」

「それは無いと思うわ。さっき説明したように、契約者が召喚されるのは、人間の手に負えない事態になってからよ。きっと、あの2人は混乱を避けるために口止めをしたんじゃないかしら」


確かにそうだ。

今回の害獣被害みたいな小さなことは

きっと日々そこかしこで起きているだろうが

今のところ、大惨事といえる世界規模の

出来事は起きていない。


これは、ヴィータの言う通り

地道に情報収集するしかなさそうだ。


「そういうことなら、ここにあまり長居するのも良くないね。早いとこ、大きな街へ行った方が良さそうだ」

「えぇ、そうね。この村には、いても後2、3日ってところかしら」

「よし、そうと決まれば…」


私達は村長の元へ行き

2、3日後には、この村を立つことを伝え

従魔達について少し話した。


「あの子達のこと、よろしくお願いします。あの子達がいれば、村の守りと出荷時の護衛と、長距離移動もできるから、物流が以前よりもスムーズになると思うんです。私がたまに呼び出すこともあるかもしれませんが、基本的にはこの村に常駐させます。何かあれば、あの子達に相談して下さい。転移のマーキングはしてあるので、私達もすぐに駆けつけられますから」


すると村長は、深々と頭を下げて

改めて感謝を口にした。


「本当にありがとうございました。……あの、世界は今、どうなっているのでしょう?若い世代はそうでもないのですが、我々のような年寄は、双黒の女性といえば契約者様であると、最初から理解しておりました。何か、大変なことが起きているのでしょうか?」


なるほど。

だから村長は、最初に私を見た時に

驚いた顔をしていたのか。


不安に揺れる村長の顔を見て

隠し立てするべきことではないと思い

自分が召喚された経緯が分からないこと

世界は今、平和であることを伝えた。


「だから、何か大変なことが起きているというのであれば、私が召喚されたこと自体が大変なことですかね」


冗談めかしてそう言えば

村長は、ホッと表情を緩めた。


「そうでしたか。しかし、今の我々にとっては紛れもなく救いの神です。本当にありがとうございました。御三方の旅のご無事をお祈り致します」


そうして2日後、村を上げての盛大な

送別会を開き、皆別れを惜しんでくれた。


翌朝、村人達とドラゴン達に別れを告げて

次なる地へと向かうのであった。

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