歴代契約者のその後

事態は一段落したが


「じゃぁ後はよろしく」


ではあまりもに無責任かと思い

コライ村に、しばし滞在することになった。

せっかくなので、何か手伝おうと申し出ると


「とんでもない!恩人を働かせるなんて!」


と、断られてしまったので

私は今、すこぶる暇人である。


だが、ちょうどいい機会なので

ヴェールとヴィータに、前から気になっていた

ことを聞いてみようと思った。


「ねぇ、歴代の契約者とその従魔達についてなんだけど…。今までの契約者ってどうなったの?」


すると、2人は顔を見合わせ

少し悩む素振りを見せる。


「うーん…そうねぇ。カオリはまだこの世界での使命を果たしてないから、教えるべきかどうか迷うけど…」

「いいんじゃねぇか?今教えた所で大した問題はねぇだろ。そもそもこいつは、必要に迫られて呼ばれたわけじゃねぇしな」

「それもそうね。カオリなら大丈夫でしょ。あのねカオリ、実は歴代契約者達は、皆この世界での使命を果たした後、普通に歳を重ねて、この世界で天寿を全うした者が多いのよ」

「え!?どういうこと?年は取らなくなるんじゃなかったの?」

「順を追って説明するぞ。まず初めに、契約者の絶対条件ってのがある。それはであることだ」

「そうなの?じゃぁ歴代の契約者は、全員女性?男性はいないの?1人も?」

「えぇ、全員女性よ。それには理由があるの。契約者はこの世界での使命を終えた後、契約者としての力を手放して、私達との契約を終了することができるのよ」

「言ってみりゃ救済措置だな。世界が平和になるまでこっちにいりゃ、当然大切な存在ってのができる。お前にももう既に仲間意識を持ったやつらがいるだろ?」

「あ……うん」


雷鳴の4人の顔が浮かんだ。


「そんな大切な人達の死を、自分が年を取らないばかりに、ただ見送り続けることしかできないなんて、つらいでしょ?」

「あぁ…確かに、生き地獄もいいとこだね」

「中には想い合う者だっているだろう。だが、半不老不死であれば、そいつと添い遂げることすら叶わない。そんなのは、この世界の恩人に仇を返すようなものだからな」

「だから、歴代の契約者は皆、最終的にその力を手放すことを選ぶのよ。そして、その力を手放すための手段というのがよ」

「出産!?あ、だから絶対条件が女性なのか」


思いもよらなかった事実に衝撃を受けた。


自分はまだこの世界に来たばかりだから

今ひとつピンときていないが

前世の家族にはもう会えなくて

この世界で戦い続けて

せっかく仲良くなった人達や

愛し合えるようになった人達を

ただ見送ることしかできないなんて

きっと気が狂ってしまう。


人によっては、前世様々な事情で

自分の子どもや家族を持てなかった

契約者だっていたはずだ。


そんな人にとっても、この世界で家族を作り

愛する人達と共にこの世界を終の棲家にして

骨を埋めるという未来は

とても魅力的に見えただろう。


契約者の力とこの2人が一緒であれば

少なくとも、望まぬ妊娠や

子が流れてしまうという心配はしなくていい。


「ただ、忘れないで欲しいのは、力を手放す選択ができるのは、あくまで使命を果たした時。この世界に平穏をもたらすことができた者のみの話よ。…中には、胸を貫かれてしまったものもいるわ」

「やっぱりいたんだ…。ねぇ、その時2人はどうなるの?」

「俺達は、契約者が死んだ時、消滅する。存在自体が消えるわけじゃねぇが、最初に言った通り、契約者はハシゴだ。この世界に俺達が実体を持って留まるための媒体になってる」

「私達は強制的に、カオリと初めて出会ったあの空間に戻されるわ。そうなれば、もうこちらの世界で厄災を止めるための力は振るえなくなる。あの空間で私達ができることは、世界を維持し日常を回していくための力を使うことだけ。人間達の、この世界の危機を回避することができなくなるわ」

「とはいえ、契約者がやられる程の最終局面だ。あの時は、俺達がいなくなっても、人間達だけでどうにかなったみたいだがな」

「そ、そうなんだ……。それじゃぁ、その従魔達は?」

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