従魔契約

結局、何も謎が解けないまま

私は変わらず宙を舞っていた。


なんていうか、安定感が凄いのよ。


胴上げってさ、よく見るのはプロ野球とかで

優勝したチームの監督を選手がするじゃない?

でもあれって、屈強な選手達が多数集まって

初めて監督1人を安全に胴上げできるのよ。


そのはずなのに、女性4人で何この安定感。

眠れる。


って、そうじゃなくて!

胴上げの話は今いいのよ。


宙に舞った瞬間に

転移魔法でヴェールとヴィータの元へ

移動する。


「魔法の無駄遣いだな」

「うるさい」

「カオリを探してるわね」


突然消えた私を探し、キョロキョロする彼女達。

そして見つけて駆け寄ってくる。

なんか可愛い。


「ストップ!もう胴上げ禁止。一体何なのよ?なぜ胴上げ?」

「ハッ!申し訳ありません!あの…主様は契約者様ですよね?」

「うん、そうだよ」


そう答えると、彼女達は明らかに嬉しそうに

話を続ける。


「私達のような古代種は、人間の言葉を理解することはできますが、話すことはできません」

「物言えぬ私達の意志を汲み、従魔契約を結んで下さったことが嬉しくてつい…はしゃいでしまいました」


はしゃいだ結果の胴上げだったのか…。

うむ、それも可愛いので良しとしましょう。

それはそうと…


「従魔契約…とな?ヴェールさん、ヴィータさん、ご説明をお願いしても?」


ニッコリと笑顔で説明を求めると


「えーっと…つまり彼女達は、カオリの『使い魔』になったのよ。動物と従魔契約を結ぶ時は、主側と従魔側、双方の同意が必要になるのだけど、今回は彼女達からの要請に、カオリが応えた形ね」

「それから契約者の従魔となった者達は、皆本来の姿に加え、人型の形態を取ることができるようになる。それらは亜人や獣人と呼ばれ、この世界では契約者の従魔であるという証となり、神聖な存在として扱われている」

「多分、まだ他にもいるはずよ。歴代の契約者達が契約を交わした亜人や獣人が」

「ちょっと待って。歴代の契約者ってことは、何十年、下手したら何百年も前のってこと?」

「そうだ。ちっとややこしいが、契約者の従魔になるということは、契約者を通して、俺達の力の一部も与えることになる」

「つまり…従魔達も、何かとんでもない力を?」

「そういうことよ。それに、カオリ程じゃないけど、かなり頑丈になるの。年は取らなくなるし、私達同様、心臓を貫かれなければ死にはしないわ」


ナルホド…。

とりあえず従魔についてはなんとなく分かった。


だが、今度はまた別の疑問が出てきた。

今まで自分のことで一杯一杯だったから

気にする余裕もなかったけど

歴代の契約者ってどうなったんだろう?


心臓を共有してる以上、歴代の契約者達もまた

神様と共にいたはずだが…。

まさか、全員胸を貫かれて?


いやいや、そんなまさか。

だったらヴェールとヴィータが無事なわけない。


と、そこまで考えたが

今はそれを気にしてる場合じゃない。

目の前の問題を片付けてなければ。


契約者のその後については

後でゆっくり聞いてみよう。


従魔となった彼女達に改めて問うてみた。


「で、アンタ達はなんで私の獣魔になりたがったの?」

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