害獣被害

伸した野盗は騎士団の皆様にお任せし

私達は話の続きを聞くことにした。


「もう1つの案件、コライ村の害獣被害ですが、実はこちらの方が深刻でして…」

「コライ村というのは『ウィムニスの食料庫』とも呼ばれるほど、農業、畜産、特に酪農が盛んで、コライ村産のチーズといえば、国外からも買いに来る人がいるくらい、人気のある名産品なんです」

「そんなコライ村の畑や家畜を、害獣が食い荒らすという被害が相次いでいるんです」


なるほど。

だからわざわざ、王都から役人が派遣されて

調査に来ているのか。


野盗の方は片付いた。

後は害獣被害の調査なのだが

元の計画では、この後騎士団が二手に別れ

野盗護送組と役人護衛組になるはずだったらしい。


しかし、があったおかげで

幾人か負傷者が出てしまい

人手を割けなくなってしまったらしい。


……明らかに私達のせいだね。


それなのに!

この2人は!


「なんでそんな面倒なことを…」


とか


「コライ村ならもうすぐそこじゃない。大丈夫よ」


とかぬかしやがるので、黙らせることにした。


「食料庫がそんな状態じゃ、食材不足で王都に行っても美味しいものは食べられないかもね〜」


ピタッと動きが止まり、固まること数秒。


「深刻な害獣被害なんて、放っとけないわね!」

「おう!人間様の食い物に手を出すなんて、許せねぇな!」


……人間様とか言ってる。

しっかりしろよ神様。


害獣被害よりも深刻なてのひら返しをした

神様の同意により、コライ村への同行が決まった。


胸を撫で下ろす、レオさんとラインさんに

自己紹介。


「私はカオリ。こっちがヴェールでこっちがヴィータ。短い間だけど、よろしくねー」


騎士団にも、コライ村へは私達が

同行することを伝え、一同目的地へ。


コライ村に到着した私達は、言葉を失った。


きっと平常時なら、のどかな田園風景が広がり

黄金色の麦穂が揺れ、牛や羊がゆったりと草を食み

ニワトリや水鳥なんかもいたであろう。


しかし、今目の前に広がる光景は

それとは正反対のものであった。


麦穂は踏み倒され、所々引っこ抜かれており

牛舎は壊され、家畜は数えるほどしかおらず

水場も濁り、生命感が失われているような

酷い有様だった。


害獣被害と言っていたが

どんな動物に荒らされたら

ここまでの惨状になるのだろうか。


深刻とは聞いたが、まさかここまでとは……

レオさんとラインさんが、村長に挨拶に行く

と言うので、私達もついて行った。


「よく来て下さいました。もう、我らだけではどうにもならんのです。お願いです、どうかお助け下さい。このままでは、この村はおろか、ウィムニス全土が食糧難に陥ってしまいます」


村長は役人の訪問を歓迎し

涙ながらに現状を説明し、助力を訴えた。


しかし、ふとこちらを見て

驚いたような顔をしていた。


なんだろう?

と思っていると、村の若者が

村長宅に駆け込んできた。


「村長!奴等だ!また奴等が来た!」

「なんだと!?」


どうやら、このタイミングで害獣がやって来て

また村の作物を食い荒らしているらしい。


「よし!カオリ、行くわよ!殲滅してやりましょう!」

「俺達のメシを守るぞ!」


俺達のメシ……。


呆れつつも急ぎ外に出た私の目に

飛び込んできたのは、家畜を襲い

畑の作物を食い荒らす

害獣という名の……ドラゴンだった。

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