まさかの仇
子どもの頃から気が短くて
口より先に手が出てしまうことの方が多かった。
しかしあの喧嘩を境に、頭に血が上っても
もう手は出すまいと改心した。
結婚し、子どもが生まれてからは
その決意も新たにし
日々を妻として、母としてやってきたのだ。
それなのに!
あの日の決意がまさかこんな形で
ふと目に入った、ヴェールの心配そうな顔と
ヴィータの呆れたような顔。
表情は違えど、2人とも顔に書いてある。
「そんなんで、これから大丈夫か?」と。
分かってる、分かってるよ!
なんとかするから、そんな顔しないで。
2人に気を揉ませてしまったことを
申し訳なく思った。
この世界にやって来てから
何も知らず、何もできなかった私に
1から全て教えてくれた。
戦い方をしっかり覚えることができたのも
彼等のおかげだ。
これから先、私がぬるい判断をしたせいで
2人を危険な目に合わせるようなことだけは
あってはならない。
私があの2人の弱点になることだけは
あってはならないのだ。
よし!
私が気合を入れると、何かを感じ取ったのか
ジャイルが大きく距離を取った。
「このままじゃ
そう言うと、ジャイルは自分に
身体強化魔法をかけた。
…今まで本気じゃなかったんだ。
それなのに、あの動きはスゴイな。
視界に入った、ジンの驚いた顔が気になった。
なんだろう?何をそんなに驚いて…あれ?
ジャイルが消え……
ドォーーーン!!!
!!
……びっっっくりしたあ!!
隕石でも落ちてきたのかと思った!
それくらい強烈な
かなりの上空から落ちてきた。
…いや、もちろん避けたよ?
まともに食らっても、多分無傷ではいられた。
だけどそれじゃ、さすがに色々怪しまれるでしょ。
その後も、先程までとは比べ物にならない
パワーとスピードで、猛攻を仕掛けてくる。
これはなかなかに手強い。
ジンが驚いてたのは、これが理由かな?
ろくに準備もしていない
急遽やることになった手合わせ程度で
出すような力じゃないんだろうな。
何故だか、これは早めに決めてやらないと
長引かせるのは酷だなと思った。
今のジャイルなら
少し強めに入っても大丈夫だろう。
身体強化魔法のおかげで
パワーもスピードも上がって入るが
基本的な動きは元のジャイルと変わらない。
ということは、カウンターを叩き込む隙もある。
一発で決めてやる。
ジャイルが繰り出した右ストレートを
左腕でいなし、そのまま彼の左頬に
ビンタをかます。
「せいやぁ!」 ビッターーン!!
うわ!
なんか、すごい音した!
私のビンタをまともに食らったジャイルは
勢いよく吹っ飛んでいった。
まずい!
急いで駆け寄ると、鼻血を吹いて
「ニィーナァー!!」
ヤバいヤバい!
やり過ぎた!
急いでニーナを呼び、治癒魔法をかけてもらう。
ごめん。
マジごめん。
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