確変

ギルドにて魔石を預け

当面の間必要になりそうな分だけ換金した後

受付のお姉さんに

美味しいレストランはないかと聞いてみた。


ここまでお世話になりっぱなしの雷鳴の4人に

お礼がしたいので、ご飯を御馳走しようと思った。


ギルドを後にして、彼等と同じ宿に部屋を取ると

礼がしたい旨を伝え、食事に誘った。


「と、いうわけで、ご飯でもどうかな?と思ったんだけど、どうだろう?さっきギルドで、オススメの店を聞いてきたんだ」


このアグニアという街は、南側が海に面している

所謂いわゆる港町だ。

当然の如く、海産物が名産のようだった。


久しぶりの海の幸!というか食事!

あれ?

そうか、私って食べること自体が1ヶ月ぶりだ。

わぁ、なんだろう。目から汗が……。


感傷に浸りながら、4人を連れて訪れたのは

ギルドのお姉さんオススメの海鮮レストラン

「荒磯亭」

海沿いのこぢんまりとした佇まいのお店だった。


早速中に入ってみると

まだ時間が早いこともあってか

お客さんはまばらだ。


「いらっしゃい」


店の奥から出てきたのは

いかにも海の男!といった風体の厳つい男。

なんとも無愛想な旦那である。


「こんにちは。ギルドのお姉さんから、ここが美味しいって紹介されて来ました。5人ですけど、いいですか?」

「マリンの?…あぁ、そうかい。その辺、適当に座ってくれ」

「わあぁ!父さん、またお客様にそんな雑な扱い…」


私と旦那のやり取りを聞きつけて

奥から従業員らしき青年が現れた。

「父さん」と言っていたところを見るに

旦那の息子さんなのだろう。


「マリンの客だ。後頼む」


旦那はそう言うと、店の奥へ消えていった。

残された青年は「まったくもう…」

と、ため息を吐いていた。


「お客様、大変失礼致しました。こちらへどうぞ」


そう言って、席に案内してくれた。


「ところで、お客様はギルドで当店を紹介されたということで、間違いはございませんか?」

「そうです。えと、マリンさん?でしたっけ?…あの、もしかして…」


正直気になってはいた。

あの受付のマリンちゃんと

目の前の青年の雰囲気がよく似ていることが。

この青年が、あの旦那の息子であるならば

あのマリンちゃんも、当然あの旦那の娘なわけで…

…あの旦那のDNAはどこに行ってしまったんだ。


「はい。お察しの通り、マリンは妹です。僕は、兄のサムと申します」


な、なんだと!?

キターーー!!!

7が3つ揃っちゃったわね!

海、マリン、サム!

これはもう、物語が始まっちゃうでしょ!


そんな1人脳内確変状態の最中さなか

まだ注文していないのに、料理が運ばれてきた。


「?」が顔に貼り付いている私達に

サム君が説明してくれる。


「妹の紹介で当店をご利用のお客様には、1名様につき1皿、お料理をサービスさせて頂いてるんです。冒険者の皆様は、たくさん召し上がりますからね」


な、なんて太っ腹なお店!

大当たり確定である。

ありがとう、マリンちゃん!

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