人里に馴染むためのアレコレ

さて、無事に入国を済ませたので

改めて雷鳴の面々に礼を言い

ついでとばかりに頼み込む。


「私、この街に来るのは初めてで…どこに何があるかサッパリなんだよね。とりあえず、お金を返すためにも魔石を売りたいんだけど、1番高く買い取ってくれるお店を知ってたら教えてくれる?」


私がそう言うと、4人はキョトンとした顔を

していたが、ジンが納得したように教えてくれた。


「そういやド田舎から出てきたって言ってたな。そういう所は物々交換が主流だもんな。魔石は基本的に、その街のギルドでのみ買い取ってもらえる。特殊な金属や鉱石は使い道も需要も限られてるから、そのまま鍛冶屋に持ってきゃ買い取りも加工もしてもらえるが、魔石だけはギルドが一括で管理してるんだ。競争が起きて値が高騰したり、崩れたりしないようにな」


なるほどー。

ジンは他にも、ギルドについて色々教えてくれた。


身分証はギルドで作れること

魔石以外にも買い取ってくれる素材のこと

掲示板に貼られている依頼のこと

入国後、1つ街や村に長期滞在するなら

申請して、滞在許可が必要なこと。

そこで前科があると、許可が下りないこともある。


などなど、ギルドでできること

しなければならないことを教わった。


「すっごい!ジンの説明めっちゃ分かりやすかった。頼れるアニキって感じだね!じゃあ何はともあれ、まずはギルドへ行けばいいんだね」


ストレートに褒めると、ジンは少し頬を赤らめ

首肯しゅこうした。


その後、全員でギルドに向かう。

ようやくこの魔石袋から解放されそうで

ホッとした。


神様補正のおかげか、重さは全く感じないが

いかんせん嵩張かさばる。

ていに言えば、非常に邪魔なのである。


しかも道行く人達も

何事かと物珍しげに振り返るので

正直いたたまれなかった。


ギルドに到着し、まずは身分証を作ろうとして

ハタと気づく。


身分証ということは、申請書を書くのでは?


え、待って。

私この世界の文字、知らない。

ここに来るまでに、店の看板とかポスターとか

見たけど、読めた。

でも知らない文字だった。

書けと言われて書ける自信はない。


どうしよう!?

助けて神様!

でもここで2人を召喚するわけにはいかない。


どうしようどうしよう!?

と内心パニックになっていると

あの2人が、うつむいてプルプルと肩を震わせている

気がした。


いや、多分実際そうだったのだろう。

以前に、互いの思考がある程度分かるって

言ってたから、あいつらはまたテンパる私に

ツボっていたのだろう。

クッソ……。


そんな私の心配を他所よそ

身分証作りはあっさり終わった。


受付にあった、水晶玉みたいなのに手をかざし

少し魔力を流したら、出来上がった。


聞けば、魔力は人それぞれ違うので

個人を識別するには、魔力の確認ができれば

十分なのだとか。


あの水晶玉みたいのは、魔力を識別するための

魔道具なんだって。


すごい魔術師になると、魔道具を使わなくても

魔力を見ただけで個人の識別ができるらしい。


前世でいうところの

指紋とか虹彩こうさい認証みたいなもんか。


そのまま滞在許可も下りて、魔石を売って…。

ここでも、ジンがあれやこれやと

世話を焼いてくれて、全てつつがなく

終えることができた。


リーダーゆえなのか、年長者故なのか

はたまた世話焼き体質なだけなのか…。

何にしても、アニキ、めっちゃ頼もしいっす!


で、魔石を売った金額なのだが……

とんでもないことになりました。


結果的にギルド預かり。

量もさることながら、かなり良質な物が

相当数紛れ込んでいたらしく

その場で、全額支払えるだけの現金が

用意できない。


ということで、ギルドが私にツケ払いを

するという事態に陥った。


そういう事例も稀にではあるが起こるそうで

そういう場合は、各国のギルドにてその情報を

共有し、残高があるうちは

どの国、どの街のギルドでも身分証と魔力を

提示すれば、お金が引き出せるシステムらしい。


……異世界ATMを手に入れた。

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