準備運動は大事なのです
いかんいかん!
ちょっと思考がネガティブになってきた。
しっかりしなきゃ。
ここから先、自分の身は自分で守らなきゃ
ならないんだから。
こんな時は、体を動かすに限るよね。
「よし!じゃあまずは、体の使い方を教えてくれる?動けないことには話にならないし」
「そうね。魔獣相手じゃ意味はないけど、野生動物や野盗を相手にする時は、物理攻撃が必要だものね」
またもや聞き慣れない単語が出てきた…。
「野盗…そんなのもいるんだ……」
「そりゃいるさ。お前が元いた世界だってそうだったろ?世の中善人だけで成り立ってるわけじゃねぇんだよ」
そりゃそうか。色々いるのは当たり前よな。
「オッケイ心得た。で、まずはどうすれば?」
「そうだな、まずはシンプルに走り込みだ。ついて来い」
「私は、魔獣が近寄ってこないように、結界を張りながら後ろからついてくわね」
「ちょっと待って、準備運動させて」
「ハァ?んなもんいらねぇよ」
そういうわけにはいかない。
子どもの頃から染み付いている
「動く前には準備運動」の習慣を
いきなり走って、足がつったらどうする。
痛いんだぞアレ。
「まぁいい。今に分かる。その次元の体じゃねぇってことがな」
屈伸、伸脚、前後屈、体側伸ばし、手首足首回して
アキレス腱を伸ば…
「おい!もういいだろ!さっさと行くぞ!」
言うが早いか、ヴィータは走り出してしまった。
あ!ちょ、待て!
アキレス腱!アキレス腱は大事なんだぞ!
断裂したら痛いし動けなくなるし、切れる時なんて
バァーーーン!ってすっごい音するんだから!
「待ってよ!まだ終わってないんだから!」
声を上げる私に、ヴェールがクスクスと笑いながら
声をかけた。
「とりあえず行きましょう?大丈夫よ。私達がいるんだから、そんなに大変なことは起こらないわ。ほらほら、早くしないと置いてかれちゃうわよ」
ムゥ……。
納得はしていないが仕方ない。
もうじき見失ってしまいそうなヴィータの背中を
急いで追いかけ始めた。
くそぅ。
ちゃんと準備運動もできてないのに
いきなり全力疾走しなきゃいけないなんて…。
明日は全身筋肉痛で動けなくなるであろうことは
想像に難くない。
…いや、もしかしたら明後日かも。
そんなことを考えていた時が私にもありました。
ヴィータに追いついてからも
しばらく走り続けているのに
汗はおろか、息すら上がらない。
おかしい。
ちょっと怖い。
私が
それを察したのか、ヴィータが言った。
「その次元の体じゃねぇって言った意味が分かったか?速度上げるぞ、しっかりついて来いよ」
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