誓いの言葉

「と、とにかく!早いとこ名前を付けてくれ。新しい体にも馴染んでもらわなきゃ、満足に力を使えないからな」


ソワソワと目を泳がせながら

誤魔化そうとしている彼等を

ジト目で睨んでしまった私は悪くないと思う。


しかし、そんなことをしていてもらちが明かない。

言われた通り、さっさと名前を付けてしまおう。


少し考えて、良さげな名前を思いつく。


「よし!では、創造神をヴェール。破壊神をヴィータとします。これからよろしくね」


名付けが終わると

私達3人の胸元が強く光りだした。


何事かと目をみはれば、それぞれの胸元から出た光が

細い筋のように伸び、他の2人の光と結びつき

それぞれの胸の中に消えていった。


「ヴェールの名と心臓を賜りました」

「ヴィータの名と心臓を賜りました」

「創造の神の名の下に」

「破壊の神の名の下に」

「今後、いかなる時も」

「主と共にあることを」

「「誓います」」


……神様が、御自らその名の下に

誓ってしまったよ?

しかも主って言った?

確かに、使役するのであれば

主従関係になるのだろうけど、神様の御主人様?

何それ?もう意味がわからんよ。


混乱している私を尻目に

2人は何やらヒソヒソと話を始めた。


「で、どうする?さすがに今回は場所を変えたほうがいいと思うんだが…」

「えぇ、私もそう思うわ。今回の召喚は違和感が強いもの。このまま召喚主の元へ行くのは危険だわ」


んん〜?何の話?


「あぁ、ワリィワリィ。これから新しい体で人間界へ行くわけだが…さすがに街中まちなかで、いきなり人がポンと湧いて出たら大騒ぎになるだろ?」

「だから、まずは人気のない森の中に転送するわね。到着したら、さっきの人形に向かって私達の名前を呼んでちょうだい」


そういえば、さっき彼等の髪の毛から作った

手のひらサイズ人形をもらったっけ。

あれが依り代?になるんだっけ?


「えぇ、そうよ。向こうの世界のことは、私達を呼び出した後にまた説明していくわね」

「まずは、向こうに着いたら俺達を呼び出す。そこまでOK?」

「うん、OK、そこまでなら大丈夫なはず!」

「よし、じゃあ行くぞ」


そう言うと、私達の体は光に包まれた。

眩しくて、目を開けていられなくなり

ギュッと目をつむった。


しばらくして、光が収まったのを感じて

恐る恐る目を開けてみれば、そこには鬱蒼うっそう

木々の生い茂る森が広がっていた。


本当に、違う世界に来たのかな?


しばし呆然と立ち尽くすも

先程までの神様とのやり取りも、夢や幻とは思えず

いつの間にか装着していたウェストポーチから

手のひらサイズの人形を2体取り出す。

それを見て、やっぱり現実だったと実感する。


人形を地面に置き、先程自分で付けたばかりの

神様の名前を呼んだ。


「ヴェール、ヴィータ」

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