重要な役割

なるほど納得。

と、いうことは…


「もし、アンデッドが発見された場合は、誰かが禁忌を犯している。と」

「そういうこった。それ以外のことだったら、大抵何やっても問題ねぇ」


いや待て。

問題なくはないだろ。

むしろ問題だらけだろ。

何やってもって…いいのか、神様がそんなんで。


「そう、そこ!それもあなたの重要な役割の1つよ!」


ビシリ!と、指紋が見えそうな勢いで力強く

指をさされましたが、話が見えません。

あと、人を指さすんじゃありません。


「あら、ごめんなさい。死者の蘇生が禁忌なのは、私達の力に反発して遮ってしまうから。逆に言えば、それさえなければ私達が困ることはないのよね」

「それ以外にも禁忌とされていることはあるにはあるが、それらは全部人間達が歴史の中で、自分らの都合で勝手に決めたものだ」


えっと…つまり人間の法に神様は関与していない。

死者の蘇生さえしなけりゃOKってことは

極端な話、戦争が起きたとしても

この神様達は傍観しているだけなんだ…。


「私達は永遠を生きている上に、人間には不可能なことも可能にできるだけの力があるわ。力を使うことは簡単だけど、逆に言えば私達が力を使ってしまえば、人間界の営みを歪めてしまいかねないの」

「その上、人間の寿命なんざ長くてもせいぜい100年だろ?俺達が情を移すには、あまりに短い」

「そうなると、大抵のことでは動じなくなるし、力を使おうともしなくなってしまって…」

「要するに、俺達は人間でいうところの、倫理観ってやつがぶっ飛んでんだよ」


あー、なるほど。

そのぶっ飛んだ倫理観を補うのが

さっき言ってた重要な役割の1つなのね?


神様の倫理観を補うとか責任重大にも程があるわ。

…あ、だから使なのか。


でもそれって、下手したら私が人間界を歪めたり

最悪、人類の滅亡なんてこ…


「それはないから大丈夫よ」


食い気味に否定された。


「さっき『戦争が起きても』なんて言ってたが、多少の小競り合い程度なら、お前の言う通り傍観するだけだ。だが、例えばとんでもねぇ兵器が開発されたり、奴らが禁術とされるようなものを使い、人間が大きく数を減らしそうになれば、当然介入することはある」

「私達にとってこの世界は、私達の存在意義そのもの。だから、いくらあなたが私達を使役できるといっても、世界を歪めたり、ましてや人類を滅亡させるようなことは絶対にしないし、できないわ」

「そのための契約者召喚だからな」


なんかまた、どさくさに紛れて初出しの情報が

しれっと出てきた。


ざっくりまとめると

倫理観がぶっ飛んでいる神様は、滅多なことでは

動かないけれど、世界の均衡が傾くような

状況には介入する。

そして、そのために契約者を召喚し

人間界に下れるように準備する。


さっき言ってた「ある程度のスパン」ってのは

前世でいうところの世界大戦や

疫病の大流行のような状況に際して

ということだろう。


…と、いうことは…だ。


「私がここに来てる時点で、世界の均衡を揺るがすような、何かが起きることは確定してるってことだよねぇ…?」

「…えぇ、まあ…」

「そうなるな…」


自ら面倒事に首を突っ込まなければ

命の危機に見舞われることはないだろうと

言っていたのに、面倒事に首を突っ込むことは

もう確定しているようである。

…解せぬ。

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