第2話 元の世界に戻る方法を探す


 優二は元の世界へ帰る方法を探していた。しかし何の手掛かりも見つからず1カ月が過ぎていた。この世界にも随分となれたが、何も連絡もしないまま家を空けている事で、家族は“今頃、心配しているだろう”と、考えると何とも言えない気持ちになる。


 成り行きとはいえこの国を救った英雄として優二は祭り上げられていた。外を歩けばすれ違う人みんなが自分を知っていて何かと話しかけてくるし、ちやほやしてくれる。

 王様も“帰る方法が見つからないならここで暮らしていけばいい。生活は保障する。”と言っている。     

 しかし最初ちやほやされることに浮かれた所があった。それも時間が経つにつれてその環境に慣れてしまい、早く自分の世界に戻りたくて仕方ない。


 部屋に閉じこもって考えるだけではどうしようもないので何らかの手掛かりが有るかもしれないと国中を歩き回っていた。

 そんな時、西の森を歩いていたら“あかね”に似た人物が向かいから歩いてきた。優二はその人物が近づいて来るのを茫然と立って待っていた。


 その人物は優二に近づくと

「ご機嫌用、優二さん。」と言ってすれ違ったが、優二は

「あの・・、すみません・・・。」とその女性に話しかけると、


「ハイ何か御用ですか?」と女性は、答えた。優二は

「はい、実は・・・」と言い掛けた時、何を言えばいいか迷ってしまい、

「・・・いえ何でもありません。」と言ってしまった。

「そうですか、それでは、失礼します。」と言うと、女性は歩いて行った。

 

 その去っていく後ろ姿を追っていたが、その女性の家まで付いて行き、場所を地図に書くと、これでまた会う事ができるだろうと安心してお城に帰って行った。

 

 お城に帰りつくとマヤに今日会った女性の事を聞いた。しかしマヤはそのような人物は知らないとの返事が返ってきた。


 優二はマヤが知らないことに少し違和感をおぼえた。マヤはこの国の事は殆ど知っているのに、その女性を知らないという事は“その女性はこの国の人物ではない・・・?”そんな事を考えた。


 数日がたっても優二は彼女の事が気に懸り家を訪ねる事にした。印を付けた地図を見ながら森の奥に入って行ったがそこには家は無く森が続くだけだった。優二は確かにここのはずだと何度も周りを探したが見つからなかった。


 彼は不思議に思いながらも森を抜けようとした時村人と会った。彼は村人に森の奥の家の事を聞くと、村人は首を傾げ

「そこには昔から何もありません。きっとあなたの勘違いではありませんか・・・?」

 と答えた。優二は“そんなことは無い確かに目撃したことを訴えたが、村人は首をかしげるだけで、そのまま去って行った。


 優二はこの国には何かあるのではないかと疑い出した。そこでお城に帰ると資料室で何か手掛かりになるものは無いかと調べた。しかしそれらしいものは見つからなかった。仕方なく部屋に戻ろうとした時執事が話しかけてきた。


「優二さん、どうしました?」

優二はこれまでの事を話した。しかし執事も

「わたくしには良く分かりません。」との答えだったが


「しかし北の山のアニカに仙人と呼ばれている人物がいます。その人物の名は“ダーゴ”です。もしかしたら何か知っているかもしれません。試しに行ってみられるのも一つの方法かと思います。」と言った。


 優二はその話を聞いて、自分の部屋で考えていた。しかし北の山のアニカに行くには2日の時間が掛かるが“今はそこに行くしかないだろう”と考えるようになった。

アニカに行くには森を抜けなければならないので、もう一度森の奥の家を探してから行こうと思った。


 次の日朝早くしお城を出て森の奥を探したがやはり家は見つからなかった。そのまま森を抜けアニカに向かった。アニカは一山超えてその先にあるキイラファズ村の向こうにある山だった。そこで陽が落ちる前にキイラファズ村に着くように歩いていた。


 お昼ごろになると山の8合目まで登ってきた。そこで城を出る時に持ってきた弁当を開きお腹を満たした。

弁当を食べ終わり休憩していると陽が昇り切っていた。これでは陽のあるうちにキイラファズに着けないと焦り急いで立ち上がって歩き出した。


 山を越えて村に向かっている時陽が傾きかけた。まだ村へは1時間くらいかかる所に居た。そこへ後ろから荷馬車が通りかけた。その荷馬車に乗っている村人が話しかけてきた。


「あなたは優二さんではないですか?どこに行かれるのですか?」

「キイラファズ村に向かっているところです。」と答えた。

「そうですか、自分もキイラファズに向かっています。よかったら乗りますか?」

「それはありがたいです。乗らせてもらいます。」と言うと荷馬車に乗りこんだ。


「あなたが竜神を鎮めてくれてこの国は平和になりました。ほんとに感謝しています。」

「いえそんな事は有りません。最後はマヤ姫が救ってくれたのです。」

「謙遜することは無いですよ。とにかく今はあなたの話題で盛り上がっています。」

「そうですか・・・」


 村人は話題を変えて「なぜキイラファズに向かっているのですか?」

 優二はこれまでの事をかいつまんで説明すると、

「ゴーダの所に行きなさるか・・・」と言い掛けたがそのまま黙った。

優二は何かあるのかなと思った。


 村人はそのまま黙ったままキイラファズの村に着いた。そして

「泊まる場所は決まっているのですか?」と訊いてきたので

「決まってない。」と答えた。


「それならば村の中心に宿屋があります。一階が酒場でそのうえが宿屋になっているからそこに泊りなっせ。」と、言うと優二を下ろして去って行った。


 優二はその宿屋に向かった。宿屋に着いてドアを開けたらそこは酔っ払いで騒がしかった。優二は静かにそこを通り抜けようとしたら一人の酔っぱらいが絡んできた。

「そこの兄ちゃん、ここはお前さんが来るところではないぞ。ミルクでも飲んでさっさとお家に帰んな!」と絡んできた。そして

「お前の名前はなんていうんだ。」


「優二です。」

「優二・・、あの優二か・・・」

「どの優二かは分かりませんが僕は、優二です。」


「気にくわないな。何か突然やって来て竜神を倒したと言って英雄気どりしている奴だろ。」

「違います。僕は英雄気どりなんかしていません。」


「いやそんな事はねえ。どれほど強いか俺と勝負しろ。」

「勝負って・・そんなことは出来きません。」


「逃げるのか。」と言うとふらつきながら殴り掛かった。

優二はそれをよけると、また殴り掛かろうとした時に一緒に飲んでいた人物が

「やめろ。お前は飲みすぎだ。」と、その男を押さえつけた。そして優二に向かって


「悪いな、酔っぱらっているだけだ。悪気はない、さっさと上に上がってくれ。」

優二はそれを受けて二階に上がって行った。

酔っ払いは「逃げるのか!卑怯者!」と叫んでいたが、追ってはこなかった。


 優二は二階の部屋に入るとベッドに横たわりそのまま眠ってしまった。

次の日アニカに向かおうとした時、昨日の酔っぱらいと鉢合わせになった。優二は又何か因縁をつけてくるかと思い身構え横を通り過ぎた。


その男はすれ違いざまに「気をつけて行けよ・・・・」と呟くような声で声を掛けただけでそのまま通りすぎた。優二は振り返ったがその男は振り返らずに歩いて行った。


 アニカには予定では昼過ぎに着くはずだったが、思いのほか時間が、掛かってしまい夕方になってしまった。


執事の話ではアニカの麓に仙人の住んでいる家が有るとの事だったので探したら、それらしい家が見つかりドアをノックした。中から“ドアにカギは掛かっていない、入ってきなさい。”と聞こえてきたのでドアを開けた。

そして中に入ると長くひげを生やした老人が椅子に座っていてこちらを見ていた。


 優二は「あなたが仙人ですか?」と、声を掛けるとその老人は

「はっははは・・・・。わしか確かにわしをみんなが仙人と呼んでいる事は知っているがそんな者ではなくただの年寄りだ。」


「ただの年寄りには見えませんが・・・。」

「そうか、そんな事は、今は、いい優二そこに座りなさい。」と言われたが優二は立ったまま


「・・・どうして僕の名前を知っているのですか?」

「何故なら優二おぬしをこの世界に導いたのはニカラだ。」優二は驚き

「どういうことですか!?」

「詳しい事はそこのニカラが説明する。」と言ったので周りを見回したら女性がたっていた。


 その女性は「初めましてニカラと言います。今までの事とこれからの事についてお話します。」と言うと話し出した。

「あなたの世界からある人を追跡して迷い込んで、ここに来たのですね。」


「確かにそうですけど。」

「それはあなたが見た幻覚です。」

「幻覚・・・?そんなことは無い確かに“あかね”を見た。」


「それは私が祈りイメージしました。私のイメージを受けっとってこの世界を救ってほしいと。そしてあの廃ビルにこの世界へ通じる入り口を作ったのです。そのイメージをあなたは受け取りこの世界に導かれました。」

「でも何故俺が小さい時好きだったあかねが分かったんだ?」


「それは、あなたの中にある気になる人物が現れたにすぎません。私がその人物をあなたに見せたわけだは無いのです。あなたが自分で作った幻影を追ってここに来ました。」


「俺が勝手に幻影を追ってここに来たというのか?」

「はいそうです。そしてあなたがこの世界に来たおかげで一つの問題の竜神は解決しました。」


「確かに俺は戦ったが、最後はマヤが鎮めたんだ。結局はマヤのおかげだ。」

「それは違います・マヤ姫が竜神を鎮める事ができたのは。あなたがこの世界に来たからです。

 

 あなたがこの世界に来なければ予言者も竜神が暴れている原因が分からずマヤ姫に解毒剤を与える事ができず、竜神を鎮めることは出来なかったのです。」

「そんなものか・・・」と言い


「俺がこの世界に来たかはあなたの祈りによってここに導かれたのは分かった、しかしなぜ俺が選ばれたんだ?」

「それが大事です。これからあなたを呼んだ本当の理由を話します。」

「本当の理由?」


「そうです。今この世界は地天、中天、上天に分かれています。私たちがいる世界は中天です。そしてあなたがいた世界は地天です。もともと中天と上天は一つでした。そしてある時魔天王が中天と上天に分けてしまいました。」

「摩天王?」


「世界を支配しようと考えている魔王です。そして二つに分かれた上天を支配してそこから魔術を使い中天を支配しようとしています。」

「それが俺とどういう関係があるんだ。」

「あなたは中天と上天を統一するための重要な人物なのです。」


「どういう事だ・・・」

「その理由は、中天と上天に分かれた時に一つの魂が二つに分かれました。一つはマヤ姫の双子の妹カエラ姫、もう一つは地天に生まれたあなたです。」

「俺の魂・・・と、もう一つの魂・・」

「混乱する名は当然ですが、話を最期まで聞いてください。」


優二「・・・・・」

「中天と上天はまだ不安定な状態です。中天と上天が再び統合されると魔天王は消滅してしまいます。


 そして二つの天が固定するのはカエラ姫が成人する時だと知ったのです。そしてカエラと別れたもう一つの魂が繋がる時に中天と上天が統合されることが分かったのです。そのため魔天王はカエラを誘拐して幽閉しました。


 カエラを誘拐された王様は全力を尽くして探しましたが、見つけることは出来ませんでした。どうしようなくなった時に私の父に捜索を頼みました。父は助手のモーラとともに手掛かりを探しました。しかし何も手掛かりが見つからないまま時間だけが過ぎてゆきました。


 そんなある日村人たちが突然消えるとの噂を聞き、その村に向かい調べていると上天と繋がっている事を見つけました。父は上天に行って色々調べると魔天王がカエラ姫を幽閉している事を突き止めもう一つの魂つまりあなたとの出会いを阻止している事が分かりました。


 そしてあなたを呼び寄せる手段も見つけたのです。

そこまで突き止めると中天に戻ろうとした時、魔天王に捕まり牢屋に閉じ込められてしまいました。しかしそれまでの事を記したノートをモーラが持っていて私たちに届けてくれました。


 そして私は中天と上天を統合する為もう一つの魂を呼ぶ儀式を行いあなたがここに来たのです。その時にあなたの事も知る事ができました。


 本当はこのまま上天に行って欲しいのですが、中天と上天が統合されるとあなたが地天に戻れなくなることが分かりました。

 

 あなたは地天に新しい関係を作っていす。そしてこのままその関係を断ち切るのは忍びないと考えます。これから地天に戻る方法を教えますので、地天の時間での三日以内にカエラ姫を救う決心が付いたら戻ってきてください。これがわたしのお願いです。」


「もしここに俺が戻って来なかったらどうなる?」

「それはこの中天は魔天王に支配されることになります。しかし、あなたに強要することは出来ません。判断はあなたに任せます。」

優二「・・・・・・・」


 「今から元の世界に帰る方法を教えます。まずあなたがここに来た時の森に行ってください。そこに帰る扉があるのでそこから戻れます。」


「その森は何度となく探したがそんなものは見つからなかった。」

「はい、それは私がそのドアを隠していたからです。今それを止めたのですぐに見つかると思います。」


「しつこいようだが俺が戻って来なかったら君たちは生きていけるのか?」

 ニカラは何も言わずただ優二を見ていた。優二は

「分かった三日ですね・・・・」

「そうです、それでは気を付けて行ってください。」優二は話を聞くと森に戻って行った。

 

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