春雪に滲む、言えぬ恋心。その静かな余韻が、いつまでも震えています。
- ★★★ Excellent!!!
りあなさんの筆致は、短編を描くうえで非常に特徴的ですね。感情を直接言葉にしないことで、かえって読む者の胸に深く響かせる――その表現の妙が随所に感じられました。
物語の「温度」が繊細にコントロールされており、読後には心地よい余韻が長く、静かに残ります。
「嫉妬が湧かない」という設定が巧みで、女騎士に憧れた主人公の造形は鮮烈です。また、優しい彼の誠実さが、物語に一層の残酷さを与えている点も印象的でした。
ラストの比喩――「春に降る雪のように」。この一行で、大人になった彼女の感情がすべて溶けていくさまが鮮やかに伝わります。春(始まり)と雪(終わり)という対比が、物語のテーマである「優しさが人を傷つける」という構図と見事に重なっています。
比喩の選び方、キャラクターの立ち上げ方、そして“語らないことで語る”技法。それらのどれもが洗練された、非常に完成度の高い一作だと感じました。