月のような


 神使のウサギはある日、神様に尋ねました。

「神様、なぜ毎日地上を見るときに姿を変えるのですか?」

神様は答えます。

「地上にいる者たちは私の姿に様々な名前を付けてそこからもっといろんなものを生み出します。それを見ているのがわたしはとてもすきなのです」と答えられました。

ウサギはならば神様のために、月が原型になったものを集めて喜んでもらおうとしました。ウサギは仲間たちを集めて月をたくさん集めます。

ウサギたちはまず月の形をしたものを探しました。団子、卵、毬など丸いものを集めました。集めていると猫が話しかけてきました。

「やぁウサギさん、いったい何を探しているんだい?」

「おや、猫。今は神様に喜んでもらうために月に似たものを探しているんだよ」

ウサギは猫に月のようなものを探していると話し、見つけたら教えてほしいと言いました。

「へぇ、それはいい。ちょうど僕も月のようなものを持っているんだよ」

 猫は自慢げに答えますがウサギには猫が今なにも持っていないように見えます。

「いったいどこに?私には君が何か持っているようには見えないけれど」

猫は自分の顔に手を当てて言いました。

「この目を見てほしい。私の目は月のように形を変えるし、黒い体もまるで月の夜の空みたいだろう?」

 ウサギは納得して神様に見せる者として猫も連れていくことにしました。

 別のところで月を探していたウサギは、月の絵や歌を探していました。そこに一羽のミミズクが飛んできました。

「ウサギさん、どうか私にも神様に会う機会をくれないか?月の明かりで私は普段食べ物を探しているのでお礼の歌が歌いたい」

 ミミズクの話を聞いたウサギは聞きました。

「なんでわざわざ夜に狩りをするんだい?君は昼でもよく見える目を持っているだろうに」

ミミズクは体を小さくしながら答えます。

「昼に外に出ると私の周りにはカラスが寄ってきて羽をむしろうとしてくるんだよ。一匹程度なら返り討ちなのだけど何十匹とたかられると流石に多勢に無勢なんだ」

 ため息をつくミミズクにウサギは同情して、神様のところまで連れていくことにしました。

 夜になりウサギたちに呼ばれた神様はたくさんの食べ物や贈り物を受け取りました。

猫やミミズクからの贈り物も神様はとても喜び動物たちはみんなが笑顔になりました。

その日の月はいつもより明るく大きなまぁるい月になりました。

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