暴力級
異形-No.412「鉄燕」
■――■【基本情報】■――■
【報告書ID】KP-2051-07-22F
【作成日】日ノ出暦 2051/07/24
【最終更新日】日ノ出暦 2051/08/01
【閲覧レベル】レベル3
■――■【事案概要】■――■
1. 異形観測・出現情報
【異形名称】異形-No.412「鉄燕」
【異形階級】暴力級(討伐済み)
【発生地区】日ノ出 南部地区 臨海工業都市 第4工区上空
【異形観測装置記録】15:20、高度500mにて時速800kmを超える高速移動物体を検知。衝撃波による周辺ビル群の窓ガラス破損により発覚。
【被害状況】超音速移動に伴う衝撃波で工場2棟が半壊。迎撃に出た民間ドローンおよびヘリ計5機が空中分解。
2. 対応作戦情報(終火奏報告)
【作戦名】作戦「落羽」
【作戦コード】OP-TS-201
【対応部隊】終火奏 第六部隊(隊長:職員コード KR-1055)
【隊長階級・氏名】金剛級 / 黒鋼 蓮
【出動兵力】金剛級 1名、銀英級 2名、銅賞級 5名
■――■【詳細経過および記録】■――■
3. 戦闘・捕獲・研究プロセス
[終火奏 第六部隊 戦闘過程]
15:45、第六部隊が現場到着。対象は全長約4mの燕に酷似した形状だが、全身が未知の黒色金属で構成されており、超音速での一撃離脱を繰り返していた。
黒鋼隊長(金剛級、神威「重力圧縮」)は、工場地帯のクレーン群に神威を付与し、一時的な「重力障壁」を空中に形成。対象の飛行ルートを限定させた。 16:10、銀英級隊員2名が災抱武器【千の針】(レベル3)を同時展開。空域に無数の指向性エネルギー弾を散布し、対象の翼の一部を損壊させることに成功。速度が低下した瞬間、黒鋼隊長が最大出力の重力圧縮を叩き込み、対象を地上へ叩き伏せた。
地上にて、なおも鋭利な翼で暴れる対象を銅賞級隊員らが連携して制圧。黒鋼隊長による核への直接打撃により、16:30、討伐を完了した。
[律眼・火鎚 事後調査]
律眼の解剖により、翼の縁は分子レベルで研磨された「単分子カッター」と同様の構造であることが判明。また、体内には高密度の液体金属が循環しており、これが超高速飛行時の慣性制御と機体強度の維持を可能にしていたことが確認された。
4. 作戦中の通話記録(主要記録)
15:50 [隊長/黒鋼] → [管制]: 「速すぎる。肉眼では捉えきれん。観測装置のデータをこちらのバイザーに直結しろ。予測進路を割り出す!」
16:05 [隊員/銀英級 AS-112] → [隊長/黒鋼]: 「右翼に命中!……ですが、奴は止まらない! 衝撃波だけでこちらの防護服が引き裂かれそうです!」
16:20 [隊長/黒鋼] → [全隊]: 「重力圏へ追い込んだ! 全員、伏せろ! 地面ごと押し潰す!」
5. 討伐兵への聴取記録(録音反訳)
聴取対象者: 金剛級 黒鋼 蓮(職員コード KR-1055)
聴取担当: 職員コード HR-0012 / 異形人事部
聴取日時: 日ノ出暦 2051/07/23
[質問者]: 討伐時の手応えはどうでしたか。
[対象者]: 生き物を殴っている感覚じゃなかった。硬い超硬合金の塊に拳を叩き込んでいる気分だ。私の重力操作がなければ、あの速度の暴力に一方的に切り刻まれて終わっていただろう。
[質問者]: 災抱武器の追加供給は必要でしたか?
[対象者]: 銀英級たちがよくやってくれた。ただ、奴の翼を解析して、もっと鋭利な武器を火鎚に作らせろ。次はもっと『速い』奴が来る予感がする。
6. 討伐・収容結果
【最終処置】討伐完了(残骸回収)
【異形残骸/収容状況】金属質の機体残骸をすべて回収し、律眼および火鎚へ移送。
【最終被害報告】人的被害:負傷者15名(うち隊員3名、災抱武器の負荷による)。
物的被害:工業用クレーン3基大破、ビル窓ガラス数千枚。
【討伐兵負傷報告】銀英級2名:【千の針】使用による一時的な視覚神経の麻痺。
■――■【技術・研究情報】■――■
7. 異形の詳細特性(律眼報告)
【世界滅亡予測】本個体が自己増殖能力を獲得し、その数が数万羽を超えた場合、地表全域が常時「超音速の衝撃波」に晒される。大気圏内の全ての飛行物体は墜落し、地上のあらゆる建造物は振動により崩壊。物流と通信が完全に遮断され、人類は地下への退避を余儀なくされる。その後、衝撃波による地殻への干渉が誘発され、破滅的な気候変動が起こると予測。
【世界滅亡クラス】崩壊
【外見・形状】全長4.2m、翼開長8.5m。黒い鏡面仕上げの金属外殻を持つ鳥類型。
【観測された特異性】「超音速機動」および「空間切断」翼の振動により大気との摩擦をゼロに抑え、音速を超えてなお無音に近い飛行が可能。
8. 災抱武器製造(火鎚報告)
【製造対象異形】異形-No.412 翼部および循環液体金属
【災抱武器名称】
【災抱レベル】レベル3
【特性/主要能力】刀身を高速振動させ、あらゆる硬質対象をバターのように切断する。また、振り抜く速度に応じて小規模な真空波を発生させる。
【適正試験合格者】反動による手首の腱への負荷が強いため、身体強化系の神威保持者を優先。
■――■【特記事項・機密情報】■――■
9. 八咫烏からの指示・処置
「新型極超音速試験機の墜落事故」としてカバーストーリーを流布。目撃した作業員への記憶処理完了。
10. 記録保管・機密情報統制
【関連ファイル】RIT-412-M(金属組成データ)、HIZ-412-B(振動刃設計図)
【紙椿補足】暴力級としては標準的な破壊力だが、機動力に特化しているため、観測装置の感度調整が必要。
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