第18話

やはり3月末の引っ越し業者はどこもいっぱいで、尚且つ繁忙期で料金も通常の倍以上でした。


主人の知り合いの運送会社に見積もりをお願いしましたが、かなり値引きをしてもらっても倉庫ひとつ分ともなると300万を超える見積もりでした。


その日の夕方、S社の前にシゲルの外車が停車する音が聞こえました。


それと同時に外に面したトイレの窓がバンッ!と開けられ、

トイレの中へバサバサッと大量の書類が投げ込まれました。


それはずっとシゲルが隠し持っていたS社の帳簿でした。


汚れてバラバラになった帳簿を並べ直し中身を確認しました。


そこには主人が長年働いて貯めていたはずの会社の資金がたったの数百万。


引っ越し代程度しか残されていませんでした。


いいえ。窯焼きさんへ支払いをしたら一瞬で無くなる額でした。


新倉庫の購入費用は!?

さすがの私も真っ青になりました。。


帳簿が投げ込まれた日、

シゲルは69歳の誕生日を迎えました。


自分の誕生日にどデカい花火を打ち上げたシゲル。

これがシゲルの計画だったのです。


引っ越しのリミットまで後3日。


私は県内に住む自分の両親や兄に連絡をし、事情を話して助けを求めました。


両親達はすぐに駆けつけ、次の日から一緒に引っ越し作業を手伝ってくれました。


会社の軽トラ2台に、家の車。

思春期の子供達もひと言も文句も言わずに、朝から夜まで休まず手伝ってくれました。


「建物内のS社の在庫商品は全て買い取る」


そうシゲルが言うので、

主人は大急ぎで倉庫内の在庫を棚卸しして調べ


納品書を作成し、A社にある在庫はそのまま残す事にしました。


在庫を置いていく事にもちろん不安はありましたが、

在庫まで運ぶとなるととても3日では終わる事は出来ませんでした。


両親や子供達の助けもあり、たったの3日で私達は無理矢理ですが移動を完了させました。

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