第12話

結局無意味な話し合いになってしまい主人には何て伝えようかと考えていると、


次の日義父が主人の会社へやってきてこう言ったそうです。


「昨日お前の嫁が突然会社に怒鳴り込んできて、泣くわ喚くわ大騒ぎ!

終いにはお前の事を病気だと言って従業員にまでお前が自宅で暴れるパワハラ夫だと怒鳴り散らして帰って行った。

その間ずっと俺とあきのちゃんは嫁に無理矢理部屋に監禁されて恐怖で堪らなかった」


「俺は騙されていた。いい子だと思ってこれまで大事にしてきたのに。

命よりも大事な息子の悪口を言われて悔しい!頼むからあの女と離婚してくれ」


主人は私に「親父の言ってる事信じてはないけど、あんなにハッキリ言われると本当はどうだったんだろうってかなり困惑してる…」と言いました。


「バッカじゃ中目黒!?」とツッコミつつも、

その時私は無造作にポケットへ突っ込んだボイスレコーダーの存在を思い出しました。


ポケットに入れていたのでガサゴソ音は入っていましたが、前日の義父達との会話が全て録音されていました。


その録音を主人に聴いてもらい、私は身の潔白と義父の嘘を証明しました。


録音を聞いた主人はすぐさま義父を呼び出しました。


初めは録音していた件は伏せ、

なぜ嘘を言ったのかと問い詰めましたが


義父は「嘘なんかじゃない!全て真実だ!!あの女は俺に暴力まで振るった!あきのちゃんが証明してくれる」と言ったのです。


主人は仕方なくボイスレコーダーの存在を明かし、もう一度

「真実はどこにあるの?」と問いかけました。


義父は「俺の頭の中にあるっ!!」と言いました。


「違うっ!真実はボイスレコーダーの中だ!」という主人からの

名探偵コナン張りの確信をつくセリフに、やっと義父は自分の嘘を認めました。


そして、これからはあきのを野放しにして甘やかさず給料もあの子の仕事に見合った額に下げる事を了承しました。


それでも、あきのが自分の愛人や特別な関係人であるという事は絶対に無いと言い切りました。


私に対しても謝罪を申し込んだ義父でしたが、謝罪の内容は

【自分が怒鳴った事を謝りたい】の一点でした。


謝りたいとは言ったものの、

「録音までされてもう俺の中では信用出来ない人間だから、嫁さんには二度とA社や実家には来ないでもらいたい」と私と縁を切る宣言をされました。


この日から私も義父とは縁が切れたものとして「おとうさん」ではなく「シゲル」と名前で呼ぶようになりました。

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