第9話

話し合いに行く前日、主人の姉と会いました。


私は今回の事を全て打ち明け、義姉に助けを求めました。


この時丁度、陶器まつりシーズンでもあり

両社を掛け持ちしていた私は忙しさのあまり母の死後はじめて義父の元へ愛犬のチリを預けていました。


預けるのは2日間だけの予定でしたが、突然義父から

「チリがまだこちらにいたいと言っているので返せれません」と一方的なLINEが来たきり戻してもらえず、実家にいるチリの様子もとても気になっていました。


義姉は「あきのさんは父の愛人かどうかは分からないけど、その勤務態度は酷すぎるね!」と激怒こそしましたが、


「私はまだ独身で実家で父と暮らしているからこの件に巻き込まれる様な事は避けたい」と言われてしまいました。


そして、私に義父と話し合いに行くなら必ずボイスレコーダーで録音をするようにとアドバイスをしてきました。


「それと、、チリの事だけど。」

義姉が言いづらそうに話を続けました。


「父が毎日チリを怒鳴って殴っているの、トイレを失敗したとか散歩中に吠えたとか言って…

チリをそちらに戻さないのもそうだけど、あなた達への不満からチリにあたっているんだと思う」


私の義父への尊敬も思いやりも、その瞬間に消え去りました。


「今すぐチリを返して!」そう私が言うと、


義姉は「あなた達に協力している事が父にバレると今度は私が何をされるか分からないから…」と答えました。


この人は姉弟よりも愛犬よりも、自分の方が大事なんだとこの時の私は感じました。


「だったら、私が勝手に無理矢理連れて帰ったってお父さんには伝えてもらっていいから」と、その日のうちにチリを拐うように家に連れて帰りました。


戻ってきたチリは、服もカラダも泥だらけでお腹の部分に膿皮症を起こしていました。


散歩は朝か夜の1度しか行っていなかったようで、

元々チリが散歩でしかトイレをしない性格だったり、尿管に石の出来やすい体質もあり、やはり膀胱炎を起こし尿には血が混じっていました。


この怒りも足されてパワーアップした私は、鼻息荒めに次の日の朝9時A社へ向かいました。


勤務時間改善のLINEを見たにも関わらず、朝9時を過ぎても相変わらずA社にあきのの姿はありませんでした。


もう一度10時半頃に会社へ行くとあきのが出勤してきました。


私は「まさかここまでする必要はないだろうけど…」と思いながらも、

オンにしたボイスレコーダーを上着のポケットへ放り込みました。


建物内へ入ると仲良く一緒に義父とあきのが揃って居ました。


私は社長室で少し話をしましょうとそのペアを呼び出しました。


この時あきのは一瞬で般若の顔になり、


私もこんな呼び出しのタイマンの様な経験は初だったので、緊張し過ぎて心臓が飛び出しそうになっていました。

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