不思議な夢の中で出会った少年……獺部月影が、「私」に話しかけてきた。
彼はどうやら同い年くらい。
見た目は、何とも言えない不快感をまとっている。
面倒だと思いながらも返事をするが、その少年の返しもまた鬱陶しいものばかり。
そんな彼は、「私」が彼のことを知っているはずだと言う。
獺部月影は、一体何者なのか……?
夢の中でしか現れない少年との会話を軸とした本作。
不思議な感覚に没入できるとともに、少年に対する「私」の嫌悪感の中には、どこか共感できるものがあります。
少年と「私」のやり取りには、心の深い部分が関わっているのかもしれません。
さらには、オチがびっくりでした!
不思議で、面白くて、深い短編物語!
是非ともご一読下さい!!!
終わってから、タイトルの意味がわかる。
そのような物語にございました。
現実にあるものなのに、そうは感じられない。違和感を感じる。
信号機が三つ目の化け物に見え、
自動車が鉄の塊に見える。
ここはどうやら、夢の中のようです。
主人公は、こうした現実と虚構のセパレートエリアとでもいえばいいのでしょうか?
夢の中で、必ず同じ人物との対話に迫られます。
やってくるのはいつも、「うそべつきかげ」
なんていう変な名前の男。
彼は主人公と対話を望みますが、主人公はどうしても彼のことを許容できません。
その会話は、まるで星の王子さまのようにも感じます。
この二人の対話が意味するものとは……。
そして今日も夢を見て、嫌いなあいつとの対話が始まる……。
コンプレックスを持たない人間は少ないでしょうなあ。
逆に、なさそうに見える人を見ても、どうにも薄っぺらくて「ああはなりたくないよなあ」なんて思ってしまう自分もいます。
嫌いなあいつとの対話。
そして、それが終わるときは来るのか?
哲学的な物語にございます。
ご一読を。