第7話リバー
川が流れる。
とうとうとただ、作為なく。
僕らは、川を見つめる。
キラキラと、まるで、今を忘れるように。
あの頃、子供の時に、思った。
なぜ僕らは、こうしているのか、
どうしているのか。
尋ねてみても、誰も、知らないから。
この感じを、切なく捉えると、とても、悲しいから、川を見つめる。
客観的に、じっとして、色々な瞬間を、想起する。
別に、抒情に浸るわけでもないけど、ふっと落ち着いて、ただ闇雲に先に進むことを厭う、それなら、このまま、思うだけだ。
何をって。
将来のこととか、小さな悩みが、川に紛れた魚のように、消えないかなって。
そんなふうに、感じて、子供ながらに、想うことを、今考えると、孤独であるということを、よく考えたうえで、むしろ、川に、思いを浮かべるなら、なんだか少しだけ救われた気がした。
時がたっても、消えないものがあるなら、それはいいことだけど、ほとんどが消える、まるで、川の泡のように。
美しいというのは、忘れてしまうことで、何をって、忘れるから、多くのことを、清らかに思えるのだ。
川は、忘却のままに、流れているようだ。
そんな川になりたい。
そういうなら、誰かが感傷と言うけど、心を、そのままに、とうとうと流れる、瞬間に、すべてを忘れたい、できないので、川を見つめる。
そんな感傷と言えば感傷と言う抱く憧れに近い感覚を、捨てられないままに、大きくなった僕は、やはり子供のようだな、と考えて、川沿いを去る。
すると、街の喧騒は、自分の心を、現しているようで、見える景色を、投影するそんな思考を、遮りたくなるけど、僕が静かな場所に行けば、それもいいなと言うのは、美しいことなのだろうと、思って、雑踏に消える心は、そのままに、あの空の下川はやはり流れ続けているのだということは、時間とか関係なく、すべてが、移りゆくので、僕もそれをすると、流されるままに、なりたい。これは自然なことだろう。雑踏の騒がしさは、それをできなくするから、僕は、また、川に向かう。しかし、景色は、僕を、癒して、そんなことを抱くのは、なんだか情けないけど、それが人と言うものであると言って、またねと言ったら、川は笑ってくれないかなあ。
子供のような心で、せめて、その瞬間だけでも、至り着き、川は何処へ行くのか。
そんなことぼくは思っていたっけ。
そんなことさえ忘れてしまえればいい。
子供は、帰る。
僕は、もうそこにはいなかった。
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