第3章 静寂
虚核危機前―ボクスタリア市某所
森を歩く。
静寂が支配する場所。
大陸、それも大都市ボクスタリア周辺にこんなにもよい森が残っているとは。
もともと、私は大陸生まれではない。それでも、大陸国家であるユーフラティア帝国に雇用されたのは、私の知識が帝国にとって有用だったからに他ならない。
大陸の大部分は砂とコンクリートで覆われている。砂漠のほとりに住む猫人ならば故郷のように思えたかもしれないが、あいにく私は森生まれだ。
『大陸』
人類はこの島をそう呼称するが、実際のところ外洋にこそより大きな陸があるのを彼らは知っている。そう呼んでいるのは、ひとえに自尊心からだろう。
そのとき、静寂を遮るように声が響き渡る。
「イリオス様、帝国技術局より新兵器開発の要請です。」
ささやかな休暇も、この島では許されないようだ。
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