TOMORROW
詩月逢生
『TOMORROW』
ねぇ 明日になったら忘れてしまうの
泣き腫らした瞼の熱さ
酔いどれ眩暈 孕む病熱
窒息しそうな羊水の胎内
僕ら 子守唄聴き星に願う
いきたいいってみたいんだと
やがて産声上げて
母の乳房にしゃぶり付き
地球最初の日
いつの間にか
掛け違え噛み合ったボタン
踏み躙られ笑われそれは当たり前
一秒先 描いた夢砕け散る
ニヒリズムの週末 蜃気楼の森
見えない聞こえない分からない
迷える羊のかくれんぼ
君は どこへ消えたの
何一つ思い出せないな
いのちの意味
あゝ 遠いあの日
真っ赤かの僕らは叫ぶ
ちっぽっけな体の底から
この地球 呪うように
この宇宙 揺るがすように
いのちを 呪うように
似たもの同士の二人
手を繋いで唄って笑って歩いていたかった
今日も勿忘草がくしゃみする
毎日毎刻朝昼晩
正しく善良な一般市民を乗せ
窒息しそうに回る満員電車に
酔いどれ溺れるスクランブル
鬼さん こちら手の鳴る方へ
キショいって
みんな穢れた愛塗りたくって
なんて 笑えない冗談だな
息継ぎ下手っぴな私は
夢遊病の迷い子
きえたいきえたいきえたいの ほんとは
ねぇ なんで きえないの
あの日あの人の手の温もりが
今日も胸をギュッと締め付けるから
地球最後の日 永遠に呪うのさ
明日になったら忘れてしまうの
僕ら
泣き声上げてから
ずっと
いのちに呪われる
あの日みたいに
声は出ない
唄い方を忘れ
大空に消えてった あの日の唄
こんな
こんな明日の繰り返しなら
いっそ 銃口顳顬に突きつけて撃て
———今
あゝ
ゆらりぐらり思い出す
真夏の灼熱の陽射し
いのちの意味揺れる
ぶきっちょな優しいヒーロー
不意に差し伸べられたあの日の手
燦々と熱く溶けた笑顔に
どろっと溶けたアイスクリーム
ぐにゃりと溶けた雨の一滴
あゝ
熱病も恋も傷も愛も
馬鹿みたいに押し殺した嗚咽も
君のぐちゃぐちゃな笑顔も
泡沫の微睡みの抱擁に溶けて
モノクロームの明日が待ってたとしても
昨日 今日 明日
ピストル投げ捨て
真っ赤っかの僕らは叫ぶ
ちっぽっけな体の底から
この地球を
この宇宙を 揺るがすように
いのちを
地球最後の日まで あいしてるよ
TOMORROW 詩月逢生 @asita_
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