読んでいてまず感じたのは、「共感できない異文化」を覗き込む面白さでした。
価値観や常識がこちらと噛み合わないのに、世界の中ではそれが“当たり前”として機能していて、そのズレを追いかけるのがとても楽しいです。
読みながら私は、この理解の先に「破滅的な何か」が待っているのでは……と勝手に想像していたのですが、そこを見事に裏切られました。
最後まで読んで「え、そっち!?」となる感じで、ラストはとても良い意味で衝撃的。強く印象に残ります。
奇抜な設定や癖の強さがあるのに、説明がくどくなく、読者を“その世界の空気”に自然に浸らせてくれるのも上手いなと思いました。
「正常って何?」「幸せって誰の基準?」みたいな問いが、読後にじわっと残るタイプの作品です。
とてもお勧めです。
何を言っているのかと思うでしょう?
ぶっちゃけ「異世界」といっても、想像の範囲内にある「なじみのある世界」なんですよ。
国王や貴族が支配する中世ヨーロッパ風の世界、文明。
火水風土などの属性を持った魔法体系。
ゴブリンやオークと聞けば、説明がなくてもどんなモンスターか最初から知っています。
え!? 人柱……木いいい???
冒頭から普通の家族の日常が描かれていますが、いやいや全然普通じゃない!
舞台設定が頭にない未知の世界に放り込まれた怖さもありますが、それ以上に怖いと感じたのは、異形のモンスターではない、言葉の通じる普通の人間との価値観のかみ合わなさでした。
第1話で結末が語られ、そこに向かって進む物語です。
世界の常識になじめない主人公・カエデの目線で語られる物語は、読者目線で共感できると思います。
この第1話、木材になったカエデに意識があるんですよね!
これ覚えておいてください。
最後まで読み終えたとき、とてつもない恐ろしさを感じると思います(笑)