コミック書評:『ぽーとぅす☆』(1000夜連続20夜目)

sue1000

『ぽーとぅす☆』

――地上最強の権力者たちの"かわいさ"に萌える


アメリカ合衆国の歴代大統領(President Of The United States 通称POTUS)46人を、萌えキャラに擬人化し、自由の女神女子学園を舞台にドタバタ劇を繰り広げる――そんな常識外れのコンセプトを打ち出したのが『ぽーとぅす☆』である。艦これやウマ娘などの流れを汲みながらも、本作がユニークなのは「国家元首」、しかもアメリカ大統領という重厚な存在を、愛らしい制服姿のキャラクターたちに変えてしまったことだ。


生徒会長を務めるリンカーンは、背が高く気品あふれた佇まいのお姉さん系の萌えキャラに。だが、お堅いはずの名演説が、学園ではドジな後輩をかばう優しい台詞へと変換され、彼女の包容力は温かい笑顔で描かれる。副会長フランクリン・ルーズベルトは、車椅子を颯爽と乗りこなしながら資料の山を軽々と捌く姿が実にキュートで、その頼もしさとおっとりした微笑のギャップが愛されポイントだ。ジェファーソンは真面目でメガネっ娘姿で、ノートにびっしり条文を書き込む表情が可愛らしく、近寄りがたい知識人像がむしろ“推せる”属性に転じている。そして会計のレーガンは、数字に細かいはずなのにスイーツに目がくらんで予算を浪費するドジっ子要素を持ち、しょんぼりする顔まで愛らしい。


物語は、彼女たちの性格と歴史的背景が、学園の騒動にコミカルに落とし込まれて進む。学園憲法をめぐって理想と現実でぶつかるリンカーンとジェファーソンの真剣な議論も、結局はお弁当のおかずを分け合うシーンで和解してしまう。そのやり取りに、難しい政治思想がやさしく、そして可愛らしく溶け込んでいく。レーガンがバブルのように膨れ上がった模擬店経営に頭を抱える回では、汗をかきながら「これじゃ赤字なの…」と小さく呟く姿が、どんな経済論よりも胸に迫る。


また、他の大統領達も、各クラブの部長やクラス委員として続々と登場し、それぞれが歴史的背景をベースに「推し属性」が設定されているのだが、本作の最大の魅力とは、まさにこの「アメリカ史の知識⇒推し属性」の見事な転換にある。

リンカーンの誠実さも、ルーズベルトの忍耐も、ジェファーソンの理想主義も、レーガンの財政観も、すべてが「推しの魅力」として読者に届く。だから学園ラブコメのように笑って読んでいるうちに、いつの間にかアメリカ史のキーワードが理解できてしまう。


第2巻以降も、まだ姿を見せない現代の大統領キャラが続々現れそうだ。トランプやバイデンが、一体どんな「かわいさ」を振りまくのか。その登場を待たずにはいられない。


知識と笑いと萌えの三拍子がそろった『ぽーとぅす☆』。地上最強の国家の重厚な歴史が、きらきらとしたリボンや笑顔に変換される瞬間、読者は誰もが「歴代大統領」に恋に落ちてしまうだろう。








というマンガが存在するテイで書評を書いてみた。

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