第6話 推しとの約束

あれ、


私、


ベンチにいたよね?


夢、と思っていると


「凛、泣かないでね。」


と杏がタブレットを見せて来た。


あまと人気絶頂の女優の結愛と熱愛が出たと

書いてあった。


「凛が気を失うんじゃないかって心配で。」


杏は息を切らせていた。


「杏何言っているの、そんな、前の話して、

それどころかあまは死んじゃったじゃない。」


杏は私を憐れんで


「凛、そこまで、落ち込んでいるのね。

今日はマネージャーの仕事休んで

今カラオケ行こう。失恋ソング歌いまくろう。」


杏は私に抱きついた。


「え!杏こそ、何言ってるの?」


「分かった、分かった。」


「授業始めるぞ。席について。」


「じゃあ、87ページ開いて」


先生が言った、これは、ずいぶん前に戻っていた。


「先生、そこ、とっくの昔に終わりました。」


言うと、みんなが私を見た。


すると杏が


「先生、その子辛いことがあって、

頭がパニックになっているので気にしないで下さい。」


「工藤!お前、悩みがあるのなら聞くぞ」


と言うとクラスは笑いに包まれた。


え!どうゆう事、黒板を見ると1か月前の日付がかいってあった。


私は急いでタブレットニュースのページを見た。


あま、熱愛と書いていた。


なんで!私、タイムリープしてるって事?


事業が終わると

「杏、私、タイムスリップしてる。

ほんとにあま、死んだの!」


「あなの中ではね。

そうそう。仕方ない。」


タイミングのせいか

全然信じてくれなかった。


家に帰り

「お兄ちゃん、私、タイムスリップしてるの。

あまは死んじゃっての。」


「そうだな。今日は早めに寝ろ。」


熱愛報道のせいか、誰も私の事を信じてはくれなかった。


でも確実にタイムスリップしているのは確かだった。

私は我に返った。


これで、あまを助けることができる。


私とあまの約束を守れると思った。


「よし、私があまを助けるぞ!」


大きな声が聞こえたのか、お兄ちゃんも


「凛、寝ろ」


と大きな声で叫んでいた。


私はそれから、あまの予定が分かる日は部活やリハビリをお休みして、


あまの出待ちをする事にした。


皆、私が精神的におかしくなったと心配していたので、


部活やリハビリを快く休ませてくれた。


家族から精神科に一度黙って連れて行かされそうになった時はビックリした。


でも、私は皆を説得するよりしないといけない事があるのだ。


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一生の推し 野田 りん @rinriny

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