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「じゃあ、行ってき……あぁ! 湊斗おはよう!」

天気予報を参考に、手(手袋)以外、完全防寒で家を出た私は、隣に住む幼馴染で、同じ高校に通学している仲村湊斗が、玄関から出てくる姿が見えたので、お弁当を母親が受け取ると、大きな声を掛けながら、湊斗の元に駆け寄る。

「おはよう! ってか? お弁当受けとるか? 俺に声を掛けるか? どっちかにしろよ? 」

「えっ!どっちも一緒でよくない? 」

「はぁ……おばさんもそして葵衣(あお)もこんな娘と姉ちゃんもっていやだろうなぁ?」

「お母さんはともかく、なんで葵衣まで出てくるよ!」

いのりには、3歳離れた中学生の弟がいる。

「えっ?だって葵衣は嫌だろ? こんな落ち着きない姉ちゃん? そうじゃなくても葵衣は、親父さんに似てイケメンなんだし」

「んっん」

湊斗の言葉に、いのりはぐうの音でも出ない。

いのりの父親は、元俳優兼モデルとしてドラマや映画、ときに某有名ブランドのイメージモデルとして活躍するなど、有名な俳優だったらしい。

そんな、父親の遺伝子をものに受け継いだ葵衣は、本当に私の弟なのかと思うほどにイケメンで中学生でありながら、ファンクラブまで存在する……らしい。知らないけど。

「葵衣の事は、もういいじゃん! ほら? 早く行かないと遅れるよ!」

葵衣の事を言ってくる湊斗の左腕を手袋をしていない右手で掴む。

「おい! いのり!そんなに強く握ると俺がコケるだろ!」

「そんなの知らない! 体幹でも鍛えれば」

湊斗の言葉に嫌みを返しながらも、掴んだ手は離さない。

( 湊斗のばか……)

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触れたい…… なつかわ @na_tu_ka_wa

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