第7話 両津中学校、職員室2

 カーテンで仕切られた病院の相部屋のようなレイアウトに設置されたベッドは、スチールフレーム製だった。(ロシアからわざわざ持ってきたのか?このために?)鈴木三佐が座ってみると、マットレスは学校の体操用マットみたいに硬い。鈴木の横にエレーナも座った。太ももをピッタリ寄せてくる。


「私、軍服姿でこういうことをするのは初めて」

「もちろん、俺もそうだよ。AVのミリタリーオタクのムービーだよ、これじゃあ」

「AV?」

「ああ、アダルトビデオ。ポルノムービーのことだ」

「ああ、わかった。オタクって、英語で言うGeekのことね?日本のAVは観たことがある」


「ロシアで?」

「インターネットでポルノハブとかあるじゃない?それを隊員の女の子と観たの」

「ロシアでも観れるのかぁ。世界は狭いな」

「VPN経由でね。ロシアではネットが検閲されているから。私は、日本のポルノ、スキ。ストーリー性がある。それと、女の子が可愛いのよね。こんな子がAVに出るんだぁ~って、本当に素人みたいな子が出演しているね?」

「たぶん、それって、本当に素人だよ、みたいな子じゃなくって」

「本当に?」

「日本じゃあ、素人がホイホイとAVに出演しちゃうんだよ」

「ふ~ん。ロシアじゃお金に困ってという女の子が出演するけど。でも、日本のAVでもミリタリー物はなかったなぁ~」


「自衛隊のミリタリー物のAVなんて需要がないから」

「需要?」

「英語で言う、Demandのこと」

「ああ、なるほど。確かに、軍服姿で軍に支給された下着じゃ、エッチじゃないものね?」

「支給された下着?」

「うん、色気のない、カーキ色のコットンのスポーツブラとショーツ」

「日本では下着は自衛隊員に支給しないよ」


「ロシアは貧しいのよ。平均給与も500ドルくらいなんだから。支給された下着、見せよっか?」こういうと、エレーナがブーツの軍靴の紐をほどき、靴下を脱ぐ。脱いだ靴下の臭いを嗅いで「汗臭いな」とブツブツ言った。ズボンを脱いでいく。カーキ色のショーツが上着の裾から少し見える。「恥ずかしい。ヒロシも脱いで」と上着も脱いでしまった。下着のトップはスポーツブラだ。乳房が半球状に張っている。ヒロシも慌てて軍服を脱ぎだした。エレーナがヒロシの半裸の姿をマジマジ見た。


「お腹の筋肉、すごいじゃん?」

「え?普通じゃない?エレーナも腹筋割れてるよ」

「腹筋割れてる?え?何のこと?」

「お腹の筋肉にモコモコと段差がついている状態」

「あ~、あんまり見ないで。鍛え過ぎかしら?」


「キレイだよ」チラッと見るとエレーナのショーツのあそこが湿っているような気がする。そういうヒロシもアンダーパンツがもっこりしていて、湿っている。「なぜ、まず、こうなっちゃうの?ロシアでは普通なのか?第一、俺はエレーナの年齢も知らない」


「あら?言わなかったかしら?24才。今は決まった男性なし。二年間くらいセックス無し!」

「24才?俺より三歳下だ。俺の妹の年と同じだ。俺も決まった女性は今いない」

「あら?妹さんがいらっしゃるんだ?私は一人っ子なの。お兄さんが欲しかったのよ」

「軍服姿の金髪の妹ねえ?ピンとこないな……おい!妹とこんな格好で話はしないぞ!」


「どう、軍服姿の金髪の妹は、欲情?私はちょっと欲情してるんですけど?」

「そんな言葉よく知っているね?」

「ポルノムービーで習ったのよ。『ダメ、ダメ』とか、『イヤです、いけません』、『およしになって、ヤメてぇ~』とか。日本人の女の子の『NO!』は『YSE!』みたいな」

「やれやれ」

「ヒロシだってモッコリしているじゃない?触っちゃおうっと」

「こらこら、おい、エレーナ、何をする!」


 エレーナはヒロシのパンツの中に手をいれた。「ロシアの男性と違う!私のはどうかしら?日本の女性と違うかしら?」と彼の腕を取って手を自分のショーツの中にいれさせた。エレーナは自分で脚を開いた。「どぉ?」ヒロシはやけくそで彼女の体を触った。


「あ!ダメ!そこ、ダメ!」

「自分から触らせておいて何を言ってるんだ、エレーナ」


「だぁ~から、日本人の女の子の言うようなことでしょ?ロシア人の女の子みたいに『あ!もっとそこ!そこよ!』なんて言ったら引いちゃうでしょう?喜んでニヤニヤするのがロシア人。日本人は顔を歪めてイヤイヤをする。日本人の男性はイヤイヤの方が好きでしょう?……って、ちょ、ちょっと、本当にそこ、ダメ!弱いのよ!」

「『ダメ!』って、『もっと!』っていうことだね?ここがエレーナは弱いんだ?」


「え~、ホントにダメ!ダメェ~!」と口をパクパクさせた。「ヤーコンチャーユ、ヤーコンチャーユ~」と顔を左右に振って切なそうな声で呻いて下腹を痙攣させ脚をバタバタさせている。エレーナがつかんでいたものをギュッと握ったものだから、ヒロシも呻いてしまった。


(「ヤーコンチャーユ」って何なんだ?ロシア語で『逝く!』って意味かな?)とヒロシは思った。後で、エレーナが説明してくれた。「ヤーコンチャーユ(я кончаю、ya konchayu)」はロシア語で「終わっちゃう~、終わっちゃいます」という意味だそうだ。


「日本語は『逝っちゃうぅ~!、I'm going』で、英語は『来ちゃうぅ~!、I'm coming』って不連続な特異点みたいね?ロシア語だと『終わっちゃうぅ~!、I'm finishing / I'm ending』は連続性があって好きだなあ」とエレーナは変な感想を言ったが、確かに変な女だよな、とヒロシは思った。


 ハァハァ言っているエレーナは、ヒロシの首に手を回して、自分の顔に引き寄せる。唇がふれ、エレーナが口を開いて舌を差し込んでくる。ヒロシはエレーナの舌を吸った。「もぉ、ダメ!我慢できない!」とエレーナは自分の下着をはいで、ヒロシのも脱がしてしまう。そして、ヒロシを上にさせた。


(これじゃあ、長くガマンできないじゃないか?)とヒロシは思った。

「エレーナ、激しい。我慢出来ない」

「いい、いい、すごくいいの」

(エレーナ、よっぽど日本のポルノを見たんだな。セリフがポルノ映画だよ……って、あ、これダメだ)


 ヒロシは痙攣して終わってしまった。エレーナは両脚を固く絡めあわせてヒロシを逃さないようにする。彼の背中に回された手が爪を立てる。 


 しばらくして、エレーナがヒロシを開放してくれた。ヒロシはエレーナの横に転がった。「あ~、すごい。エレーナ、すごいよ」「私も。久しぶりよ。それもこんなシチュエーションだったから、今までなかったほどすごい!」ヒロシは起き上がってエレーナを見る。


「エレーナ、離してくれないから思わず……」

「いっぱい出たわね。中が熱い」

「キミ、安全日だろうね?」

「え?何?安全日って?」

「妊娠しない日のこと」

「ああ、安全日っていうのね?じゃあ、安全じゃない時は?」

「危険日、っていうのかな?」


「ヒロシ、安心して!バッチリ、その危険日よ!」

「ちょっと、エレーナ……」

「それに、え~っと、日本語だと『排卵促進剤』って、言うの?それも飲んだから、バッチリよ!赤ちゃん、欲しかったの」

「ちょっと、ちょっと、待って!ストップ」

「慌てちゃって。赤ちゃんできたらどうする?責任取ってくれるんでしょうね?日本の女の子だったらそう言うのよね?」

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