第9話:悠真からの告白。
ある日、舞は悠真からLINEで呼び出された。
「公園で待ってる・・・悠真」
舞は何事?と思って公園まで行くと公園のブランコに悠真が座っていた。
「悠真・・・なに?」
「舞・・・」
「ごめんな・・・思いついた時に伝えとかないと決心鈍りそうだから・・・」
「なに、なに・・・怖いな?」
「なにから、どう話せばいいのかな・・・」
ルシルは公園のトイレの屋根の上に座って一部始終を見ていた。
「舞・・・」
「だからなに・・・そんな真剣な顔して・・・ほんっと怖いんだけど」
「お、俺は・・・・今まで舞とは幼馴染でいて、それだけで楽しい毎日だった」 「今でも、それは変わらない・・・以前は舞のことを諦めようと彼女を作ったり
した時もあったけど、でも、それでも心の中ではずっと舞のことを思ってた」
「子供の頃から俺は舞のことが好きだった」
「一緒にいれば楽しい・・・だから、その関係に甘んじてた」
「何度、舞が好きだって言おうとしたけど舞があまりに近すぎて舞と会うと
今日はいいやってなっちゃって・・・それで言えなかった」
「舞とすれ違う度に切なくてしかたなかったんだ」
「他の男と仲良く笑ってる姿を見て嫉妬してた・・・」
悠真は深呼吸した。
顔が火照ってドーパミンが出まくりだった。
(もう煮え切らない男だな・・・なに、だらだら言い訳みたいなことばっか
言ってんだよ・・・ズバッと言え、ズバッと・・・愛してるって!!)
屋根の上にいたルシルはじれったくてしょうがなかった。
「だから、その俺は・・・舞が好きだ・・・」
「俺の彼女として付き合ってほしい・・・ダメなら諦める・・・」
「いや〜その、ダメじゃないけど・・・」
「こんな、恥ずかしいこと言えたのはルシルのおかげかな・・・」
「え?ルシル?・・・え〜〜〜〜まじで〜」
「待って・・・これってルシルの入れ知恵?」
「そうじゃなくて・・・ルシルは俺の背中を押してくれただけだよ」
「一度、ふたりで話し合えって」
「よく分かんないけど舞が幸せにならないとルシルは家に帰れないんだって・・・」
「そのルシルのこととは関係なく俺は自分の意思で自分の気持ちを今、舞に伝え
てるんだ」
「舞、俺は舞のことが好きだ・・・って言うか愛してる」
「もし、俺の気持ちが舞に届かないなら、さっきも言ったけど俺は諦める」
「辛いけど・・・今まで通り幼馴染ってわけにはいかなくなるだろうけど・・・」
「同級生として友達としてなら・・・ 」
「悠真」
「・・・大丈夫だよ悠真」
「わたしの気持ちも悠真と同じだよ」
「私、嬉しい・・・悠真に愛してるって言ってもらえて」
「悠真、好きだよ・・・私も愛してる」
「舞・・・え?・・・なに?」
「泣くようなことじゃないだろ?」
舞は自分の心に押しとどめてた気持ちが涙と一緒に一気にあふれた。
「悠真、私たちバカだね・・・今までお互い思ってながら勇気が持てなくて」
「そうだな」
悠真は舞を引き寄せて抱きしめた・・・とってもぎこちなかったが、ふたつの
影がひとつに重なった。
「まどろっこしいけど・・・悠真・・・合格」
「なんとか、うまく行ったみたいだな」
「やっぱり悪魔の世界も人間の世界も男がしっかりしないとな」
トイレの屋根の上にいたルシルはホッとした。
「人間って、面倒くさくて複雑で・・・面白い生き物だよな」
「人の不幸が餌の悪魔が恋のキューピットって・・・私・・・何やってん
だろ・・・」
つづく。
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