第8話:悠真の気持ちを確かめるルシル。

舞は煮え切らない・・・あの子の心を開くのが難しいなら、それなら

悠真だな、とルシルは思った。

ルシルは悠真がひとりになる時を・・・チャンスを待っていた。

舞と風呂の中で話をしてから三日目の金曜日・・・。


ちょうど、うまい具合に学校の図書室に、ひとりでいる悠真を見つけた

ルシルは、静かに悠真の横に座った。

悠真は自分の横に気配を感じて、ちらっと一度見てからさらに二度見した。


「なんだ?・・・舞かと思ったらルシルか」

「黙って横に座るなよ・・・」

「君も図書館に用事?・・・ 悪魔もこんなところにも来たりするんだ?」


「私は本なんかに興味はないね」

「あんたに聞きたいことがあって来たの」


「俺に?」


「単刀直入に聞くけど、あんた舞のこと、どう思ってる?」


「まじで単刀直入だよな」


「どうなの?」


「どうって?・・・幼馴染・・・」


「そんなのは分かってるよ」

「好きなのか、そうじゃないのか聞いてるんだよ」


「ん・・・まあ・・・嫌いじゃないけど・・・」


「じゃ〜好きってことだな・・・」


「なんなんだよ、いったい」


「いいか?舞はおまえのことが好きなんだよ」


「それは、まあ薄々分かってるつもりだけど・・・」


「ただ好きってんじゃない感情が芽生えてる」

「でも、もし愛してるなんて告って、あんたから「ごめんなさい」って

言われたらお互いの関係がぎくしゃくするのが怖くて言えないでいるんだ 」


「そうなんだ・・・まあ確かに・・・」


「でも舞に白状させたからな・・・お前を愛してるって」

「しっかりしろよな、ぼ〜っとしてると舞は他の男に持っていかれるぞ 」

「お前だって舞のことを愛してるんだろ?」


「愛してるって・・・」

「そんなこと、いきなり言われても・・・」


「お前も好きってだけじゃないんだろ?・・・まあ、舞の顔を見るのも

嫌ってほどキラいならしかたないけどな」


「そんなこと言ってないし・・・」

(なんなんだよ、こいつ・・・)


「俺と舞の問題・・・ルシルには関係ないだろ」

「そう言うのをお節介って言うんだよ」


「ん〜・・・そうか・・・悪かったな」

「私も何が嬉しくて好き好んでこんな世話やいてんだろうって思うぞ」

「まあ、いいわ」

「ただ、今の舞には新しい希望が必要なんだよ」

「舞が(私は幸せ)って思わなきゃダメなんだ」


「そうじゃないと、私はいつまでもナイトメアタウンに帰れないの・・・」

「舞の気持ちはおまえに伝えたからな」


「一度、ふたりでちゃんと話し合え・・・いいな 」

「ズルズルした関係のままでいいのか?」


それだけ言ってルシルは消えた。


つづく。


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