第6話:なけなしにルシルを受け入れた舞の母親。

舞の家に居座ってしまったルシル。

とうぜん家に帰ってきた舞の母親は悠真と同じようなリアクションで驚いた。

智晴(ちはる)はルシルを見てぽか~んと口を開けたまま固まっていた。

舞はとりあえず自分の母親をルシルに紹介した。


「私のお母さん、風吹 智晴 (ふぶきちはる)」


「お母さん、この子はルシル」


「そう言うことだから、よろしくね、ちはる」


智晴は


「あ、よろしくね」


って言ったあとで


舞の横に来て 「ねえねえ、あの頭の両方についてる赤い色の・・・あれってなに?」


「ツノ・・・」

「は〜・・ツノ・・・え? ツノ?」


「これ、歳食って来るともっと伸びてデカくなるんだよ」


ルシルは自分のツノを指差した。


舞は悠真に言って聞かせたことを智晴さんにも説明した。


「あはは、そうなの?・・・そんなバカなことって・・・あるのね・・・」

「にわかには信じがたいけど・・・」

「ま、他に行くところもなさそうだし?・・うちでよければゆっくりして

ってね、 遠慮しないでルシルちゃん」


とりあえず智晴はルシルにお愛想を言った。


ルシルがいる以上、いくら否定しようが、これが現実だという何よりの証拠だった。

その晩からルシルは舞といっしょにお風呂に入って同じベッドで寝た。

いきなり姉妹ができたみたいだった。


「悪いな・・・」


「いいよ、お姉ちゃんができたみたいで、楽しい」


誰が見ても年齢的にルシルのほうが雫より歳上に見えた。

次の日、母親は仕事に、舞は家から一歩も出ないようにルシルに言い聞か

せて学校に出かけて行った。


ルシルは、一応「うん」って返事はしたが、そう言われたからって大人しく

してる優等生な悪魔じゃなかった。


「一日中、家の中にいるなんて冗談じゃない・・退屈・・・」

「いつナイトメアタウンに帰れるか分からないし・・・」


とりあえずルシルは舞の後を追ってみることにした。

ルシルは指をパチリと弾くと一瞬にして姿を消した。

ナビみたいな鋭い勘を持ってるルシルは今、雫がどこにいるかすぐ分かるのだ。

ルシルが姿を表すとバス停に何人かの人たちに混じって仲良く並んでる舞と悠真

を見つけた。


ふたりにバレないよう後ろに隠れて見ているとやがてバスがやって来てふたり

はそのバスに乗って行ってしまった。

さすがにルシルでも舞の学校のありかまでは分からない。

舞が学校についた頃を見計らって追いかけようと思った。

それまで、しばらくバス停のベンチで休憩することにした。


誰もいないバス停・・・。


この通勤通学帯が過ぎればバスを利用する客はほとんどいなくなる。

人間って不便な生き物だなってルシルは思った。


悪魔なら見たことある場所なら、どこへでも瞬時で行けるのに・・・。

30分もバス停で無駄な時間を潰したルシルは舞の行動を探ってみると どうやら、

すでに学校には着いてるようだった。


それを確かめたルシルはバス停から消えた。

この瞬間を誰かが見ていたら、なんて思っただろう。

エロくて裸同然の女の子がバス停から消える姿・・・見た人はそのままUターン

して 家に帰って自分が何を見たか大いに悩むことだろう。


つづく。


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