マフィアが跋扈する島で、刑事の娘として生きてきたカトリオナ。しかし、父がマフィアの恨みを買ったことで家族を惨殺され、彼女は唯一の生存者となります。復讐を誓った彼女は、仇である「フォドラ家」へと潜入し、内部からの壊滅を目論むのですが……。
本作は、聖書の一句が引用されるなど、非常に硬派で重厚なハードボイルド作品です。
特に魅力的なのは、主人公のカトリオナが「女性」であることを武器にするのではなく、あえて弟の名である「ライリー」を名乗り、一人の男性としてファミリーへ深く入り込んでいく点です。
自らの正体を隠し、ファミリーの信頼を勝ち取っていくスリリングな展開。そして、最初の試練を乗り越えて、しかし秘密がバレ──、まさに「これから」という非常に高揚感のある場面で幕を閉じています。
カトリオナの復讐劇が今後どのような結末を迎えるのか、気になって仕方がありません。ぜひともカクヨムネクスト賞を受賞され、この物語の続きを拝読できる日が来ることを、心より願っております。