第7話 子供たちの笑顔と成長の証
この1年は本当に忙しかった。
ミラノでは海外のデザイナーなどとの打ち合わせにも同行させてもらい、たくさんの経験をさせてもらえた。
その中で途上国の子供たちに対する「Orihimeプロジェクト」が始動していた。
プロジェクトでは、売上の一部で途上国への寄附を行ったり、「Orihime」が新たに試みた子供向けの衣服の試験的な寄附を行ったりしていた。
Orihimeは新たに子供服も販売するようになり、Orihimeファンの女性が親子でファッションを楽しんでくれるようになった。
そして、この子供服や親子ファッションのデザインを担当したのは、あの野川さんだった。
彼女のデザインはOrihimeの大人の女性が持つクールなイメージとは対照的に、どこか優しく、暖かな温もりを感じるようなデザイン性があった。
あの時、姫花は野川のデザインがOrihimeには合わないと切り捨てた。
しかし、この親子の暖かさを感じるようなデザインが新たなOrihimeの目指すべき可能性を秘めていたのだと実感している。
社長は最初からその可能性を考えて、野川さんとの契約をしたのだろうか。
姫花はパソコンに届いたメールの画像を開いた。
画像にはOrihimeが寄付した服を着た子供たちの曇りのない笑顔の写真と
姫花はその画像を見ながら、感情を抑えきれなくなり、
(きっと…これが星夜くんが大事にしていた子供たちの笑顔なんだ。)
(星夜くん、あなたは子供たちの笑顔のために海外に行く道を選んだんだよね。)
(ごめんね。私、あの時星夜くんの気持ちを何も分かっていなかったね。)
今日の昼の便でミラノを発つ。
(2年間過ごしたこの街、ミラノとも今日でお別れだ。)
いよいよ明日7月7日は星夜との待ち合わせの日であった。
(星夜くんは本当に元気になったかな?)
この1年、彼に関する情報は何一つ入っていなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます