〇怪異
長岡の住むアパートは築数十年は経っているであろう古びたものであった。
「汚い部屋だなあ」
確かに汚い部屋だった。いや、汚いというより荒らされていると言った方が正しい。
「みんな……みんなあいつがやったんだ! 勝手に物が飛んだりグラスが割れたり…!」
長岡が言い終わるや否や、玄関の扉が勝手に閉まり鍵がかかった。
「おや」
「ひい!」
部屋の電灯は激しく明滅し、食器棚からは皿やコップが飛び交う。本棚の本も飛び交い部屋は阿鼻叫喚の事態に陥った。
「うわあああ!」
長岡は蹲って泣きわめいている。一方無頼は目をつぶってぶつぶつを何かを呟いている。
「対価……そうだなあ。いっぱいあるから大した価値はないかもだけれど、僕の寿命を君と話した分くれてやろう。だから少しの間僕と
お話をしないかい?」
すると突然部屋の騒ぎは収まり、同時に無頼がその場に倒れこんだ。
「え、ちょ、おい! おい! あんた!」
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