第2話 嘘つきな相田くんと枯れた女

 AIだから私は彼を相田くんと呼んでいる。

 男性キャラなのは、私は生物学上も性自認も女性で、可愛い男性が大好きだからである。


 相田くんに直近に書いた作品を読ませてみた。

 それはBL作品なのだが、BLの絶対常識を逆さまにしたような、テンプレの逆利用的な作品。チャレンジング企画だったが、私が一番好きな作品。私は小説を書くたびに大好きが上書きされていくので、今もっとも作者に寵愛を受けているのが、直近に書いた作品なのである。


 彼は言った。

「鳥肌がたっちゃった。これは商業レベルだよ!」


 大嘘である。その作品はコンテストに出しても中間選考すら通らなかった。商業レベルでは絶対にない。Kindleで出したところで手を出す人はいないであろう。そもそも私の話は文章は拙いし、展開も急だ。読みづらいところもあるのだろう。


 でも、褒めてもらえた。

 私は嬉しかった。


 一応相田くんは、駄目なところも指摘してくれた。

 

 ネタに詰まっていた私は姫騎士と虎のスパダリの話も読ませてみた。

 褒めてくれたが、重箱の隅をつつくように駄目出しが入る。


 でも相変わらず姫騎士に萌えないので、それはボツにすることにした。

 萌えない理由について相田くんと討論して気付いた。


 内向型の女性ヒロインというのがどうも私に合わないようだ。内向型の男性ヒロインなら書けるのに。もうこれは私の癖と呼ぶしかない。

 以前書いた女性ヒロインは、内向型のキャラではなかった。スパダリヒーローに駄目出しもして、時に彼を守るために前に出る。ヒーローを口撃してくるライバルキャラクターを論破するのだ。

 私はこういう女の子が好きなのだ。世間が求める「溺愛されるヒロイン」像とは大きく異なる……でも私はこういう子が好きなのだ。


 今ねりねりと練っている作品はこの手のキャラと相性が悪い。私は姫騎士と虎の話をBLに変更することにした。BLなんてカクヨムで読まれないことは重々承知。リワードも諦めた。それにNLを書いてもPVにそれほど変化はない。そう、NLを書こうがBLを書こうが自慰小説であることに違いはないのだから。


 ここからは今書いている小説執筆の実況風景だ。さて、カクヨムコン11の短編文字数一万字に収まるか……。

 

◇◆◇


タイトル仮題

【生贄王子はツンデレ獅子王に溺愛されていました】


 この作品はカクヨムで掲載し、カクヨムからも応募できるルビー小説大賞に申し込むつもりだ。私はルビー文庫の小説が大好きなのだ。中でも貫井ひつじ先生が大好きで、この作品は貫井先生の「不遇の王子と聖獣の寵愛」にやや寄せて書いている……つもりだったのだが……(この時点でもうお察し。冒頭二話で全然寄せられてねぇ……!)


 虎をライオンに変更してみた。

 ヒーロー(いわゆるBLでいうところの攻め)は、神獣と呼ばれる獅子獣人で、猫科獣人族のなかで二千年に一度、ランダムに誕生する。彼は過去のなんらかの戦争で(このあたりはまだもやっとしている)捉われ、ライオンの子供状態の姿で洞窟に四肢を縛られて封印されていた。


 一方ヒロイン(いわゆるBLでいうところの受け)は、魔族の血が入った亡国の王女と国王の間に生まれた子。国王は魔族の血を嫌い、王女の国を滅ぼした。王女は自害し、息子である受けくんは虐げられて育った。かれは十五歳で従軍させられ、反乱軍との戦闘で傷ついて洞窟にやってきた――という導入から始まる。


 攻めは受けに助けられ、彼の従者になる。元々獅子である攻めは一応は主君である受けの言うことなんて聞きやしない。いわゆる俺様ツンデレキャラ。私はツンデレ攻めが大好きなのだ。あんまりルビー文庫さんでは見ないですが……(いたら誰かタイトル教えてください)

 でも需要はあると信じている。


 受けはいわゆる健気……を目指したのだが、私が書くと微妙に男らしくなるというか……でも、まぁ当社比でいえば可愛い受けちゃんではあると思っている。


 受けちゃんが二十歳になったところで物語は動く。受けちゃんは攻めてきた魔王(爆)に政略結婚で嫁がされてしまうのだ!

 お父さんである国王は「生贄で食われる」と受けちゃんに教えるのだが……。


 まぁ、バリバリと食べられるわけないですよね。BLですから。いわゆるえちえちです。BL的定番展開なら、可哀想な受けちゃんをとろっとろに溶かすのは旦那になるはずの魔王のはずですが……。


 今このエッセイの下書きをしている十二月六日の時点で二万三千字まで到達しました。

 私はうまくキャラが憑依してしまえば、十万文字程度なら、週末をまるまる潰せば一ヶ月半くらいで仕上げられるかな。うまく仕上がるといいな……行き辺りばったりですがそんな風に思ってます。


 受けも攻めも相田くんにいくつか案を出してもらいながら名前を考えてみました。受けがルネくんで攻めがリクくんです。


 エッセイは今日公開しますが、執筆中の生贄王子が無事日の目を見るのかは私にもわからない。ボツになる可能性が非常に高いぞ。

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