第3話 ハンバーグと日本酒


限られた3日間、大事に過ごそう。まずはお土産を見に行った。彼女の職場の人や友人が喜ぶ日本のお土産を一緒に選んだ。最近はインバウンド向けが多いため、どこもお土産だらけで中々決まらず色々なお店を回った。手を繋ぎ恋人のように。あの頃のように。

彼女といるとなにをするにも楽しくて幸せな気持ちになる。心地よい声に穏やかな話し方が落ち着く。そして僕自身も穏やかにしてくれる。そんなところが大好きだった、そして今もやっぱり大好きだと感じた。

彼女が全てのお土産を買い終えた時には、真夏にも関わらず既に日が沈みかけていた。とりあえず僕の家に帰り、今日は家でご飯を食べることにした。初めて2人でハンバーグを作った。そういえばあの頃は一緒にご飯を作ったことはなかった。新しく初めての事が増えて幸せな気持ちになった。ご飯を食べ終え、お酒を飲んだ。彼女は出会った時からお酒が大好きで、この日も日本酒を一緒のペースで飲んでくれた。お酒もある程度入り、そういう雰囲気になった。僕はもうしばらくしていなかったので欲はあったし、彼女が帰ってきたらしようと張り切っていた。だがそんな事さえ忘れるくらいに楽しくて、一緒に同じ瞬間を過ごしているだけで満たされていた。

彼女が電気を消してやっとその事を思い出した。

いざその時が来るとなぜか僕は出来なかった。彼女にとても申し訳ない気持ちになり自責の念に駆られた。お酒もだいぶ飲んだし、何より彼女とするのは7年ぶりなのだ。緊張してしまったのだろうと自分を励ますしかなかった。

そんな僕を彼女は優しく包み込んでくれた。そうだ、彼女は包容力もあったのだ。そのあとはベッドでテレビを見ながら2人で寝落ちをした。


その日、2人が出会った日の夢を見た。

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