第4話 みつきと立ち飲み屋
7年前 僕たちは出会った。
浅草の小さな立ち飲み屋でお互いに1人飲みをしていた。タイプな子がいるなぁと思ったがその時はその程度だった。アットホームなお店で来ていた人たち皆と話をしていた、もちろんそこに彼女もいた。
彼女は美月といった。
僕の名前も光基だ。名前が同じということで一気に距離を縮めた。出身や職業、趣味、色々な話をした。僕は絵を書くのが趣味だ。彼女は絵を見るのが趣味だったことが凄く嬉しかった。なにより2人の家が徒歩2分だったのだ。僕は運命を感じざるを得なかった。
同じ名前だったので僕たちはあだ名で呼び合うことにした。僕は彼女を「みい」、彼女は僕を「みっきー」と呼んだ。
その日から僕たちは毎日一緒にいた。どちらかの家に行きご飯を食べテレビ見て帰ることもあれば泊まることもあった。
僕は既にみいのことが好きだった。彼女もそう言ってくれていた。
ただ付き合いたくはなかった。当時の僕はどうせ終わるなら始めなければいいと考えていた。
それにみいは僕の事を本気で好きなのかわからなかったのだ。なので僕たちは、付き合うということはせずに恋人同士のような生活をしていた。
付き合わなくてもこの生活に満足し、僕は好きが増していった。
だが、みいの気持ちが読めなかった。気持ちを伝えてくれてもフラフラしていて信じられなかった。本当はどう思っているのか聞けばよかった話なのだが、あの頃の僕には聞く勇気がなかったのだ。
だから僕は逃げた。みいがどこかに行く前に先に僕の方からいなくなったのだ。今思うと情けない、当時の自分もその愚かさに気づいていたに違いない。
一緒にいる大好きな相手から、みいからの愛が欲しかったのだが、臆病な僕はそれを別の場所に求めたのだった。
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