第23話 新たな眷属(家族)
母子を見守りながらテントを出していると、落ち着いたのか近寄ってきた。
「もういいのか?」
「ダイジョウブ ダ キズモ イエタ カンシャ スル」
「気にすんな」
改めて、ことの顛末を聞いてみると。
この世界の狼型の魔物は全てではないが、始祖のフェンリルの血が流れているようで、稀に隔世遺伝で血を濃く受け継ぐ個体が生まれてくるらしい。
本来であれば、生まれてきた子は、群れでは崇められ、大切に育てられて次代のボスになるのだが、今のボスである母親の番は、それを許さず母子もろとも殺そうとしたようだ。
話を聞き終わり、キレかけてた感情は、『くぅあ~ん』と子供のあくびとコクコクと船を漕ぎ出した仕草に毒気を抜かれ霧散した。
ぬおおおおおおおおお♥️
はっ!
``ぱっちーん´´
頬を叩き理性を保った。
「ド、ドウシ タ !?」
「す、すまん。なんでもねぇ」
あぶねぇ、あと少しでモってかれるとこだったぜ!なんつう攻撃をしてくるんだ。
もともと、狼が一番好きな動物だったからな。
でも今は我慢だ。
明日!明日までの辛抱だ。
『ふぅーー』深呼吸をして、なんとかこの高ぶりを、落ち着かせることに成功した。
「ソイツも眠たそうだ。今日はあたしらと一緒に寝ろ。その方が安心だろ」
「ソウサセテ モラウ」
一時の感情に流されることなく、終わらせたことに、自身の成長を称え今日は食わずに寝ることにした。
キャンキャン!
可愛らしい声と体に伝わる重みで目を覚ました。
重みを確認してみると、助けた子がお腹の上に登りあたしを見下ろしていた。
あたしは、昨日我慢していた欲望を、解き放った。
瞬時に潰れないように抱き抱えテントの中を縦横無尽に転げ回った。
ほおおおおおおおお♥️
かわいすぎるーーーー💕
子供も楽しいのか『キャンキャン』鳴いていた。
うるさかったのか、外で寝ていた母親がテントの中を覗き込んできた。
「ウルサイ! ナニヲ ········ ホントニ ナニヲ シテオル !?」
母親と目があったあたしは、``しゅび´´っと立ち上がり母親の頭に子供を載せ``プルプル´´と震え始めた。
「ドウカ シタカ ?」
母親がコテンと首を傾げ、頭の上の子も同じくコテンとしたことで我慢の限界に達した。
「もう無理だ!」
「? ?」
モフらせろーーーーー!!!
「ギャーーーー」
「キャンキャン」
母親は悲鳴を上げ、子供は嬉しそうに鳴いていた。
それを見ていたアカツキは『主様~ボクも~』と小さくなって交ざってきた。
三匹をモフりながら思った。
アカは``ボクっ子´´だったのか。
アカツキの新事実が判明したところで、みんなで朝食をすることにした。
母子共に調理した肉が気に入ったのか、無我夢中で食べていた。
「うまいか?」
「キャンキャン!」
「ワレモ ハジメテ タベタガ ニンゲンガ ツクッタ モノガ コレホド トハ モウ ナマデハ タベレン ヤモ シレン」
あたしは母子を笑いながら安堵した。
あらかた食べ終わり、落ち着いたときに、今後の話をした。
「今後の話なんだが、おめぇを助けるためとはいえ、血をやっちまったんだが、そのせいであたしの眷属になっちまったんだ。事後になっちまったが、すまない」
「キニスルコトハ ナイ オカゲデ タスカッタ ソレニ キブンガ イイ」
ひとまず安堵し、次の提案をした。
「あたしらと一緒に来ないか?」
これまでの経緯と目的を話すことにした。
「もちろん、あたしが帰る時はこっちに残ってもらっていい」
「ハナレルツモリハ モトモトナイ ワレハ ソナタヲ キニイッタ ソバデ チカラニ ナリタイ ワガコモ ソナタヲ キニイッタ ミタイダ」
「キャンキャン」
嬉しそうにしっぽをブンブン振っていた。
っっっっっっっ!
ふぅーー
「そうか、今後よろしくな。なら、おめぇ達に名前を付けたいんだがいいか?」
「ゼヒニ タノム」
「うぉーん♪」
子供の仕草に内心悶えながらも、名前を考えることにした。
その前に改めて母子を鑑定で観ることにした。
まず母親から
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
名前
:なし
種族名
:星屑狼(スターダストウルフ)(♀)
スキル
:咆哮 影移動
:自己再生 人化
魔法
:影魔法
状態
:忍の眷属
△△△△△△△△△△△△△△
アカの時と同じだな。
あと変わったのは?
?·········人化?·········はっ!?
気になったところを確認してみた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
星屑狼(スターダストウルフ)
:忍の血を飲んだダークウルフが進化した魔物、初めて観測された固有個体です。
影移動
:影に潜り影から影へと移動できる
人化
:人の姿になることができる。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
説明は名前を付けてからだな。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
名前
:なし
種族名
:レッサーフェンリル(♀)
称号
:フェンリルの血
△△△△△△△△△△△△△△
まだ、生まれたばかりみてぇだしこんなもんだろ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
レッサーフェンリル
:フェンリルになり得る最小個体。
フェンリルの血
:フェンリルの血を濃く受け継いだ証
:成長につれて身体能力向上
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
成長が楽しみだな。
名前をつけるか。
母親の方からつけることにした。
「おめぇの名前は``ナガレ´´(流)だ!」
「ナガレ イイ ナダ キニイッタ」
ナガレの頭を撫でたあと子供を抱き上げた。
しばらく見つめ、母親の名前を参考にしようと考えた。
母親がナガレ(流)だからな。
水関係か流れる水、そこから生まれて滴る水······はっ雫!
「おめぇは今日からシズク(雫)だ!愛称はシズな」
「うおーん♪」
顔をペロペロ舐めてきた。
「キニイッタ ヨウダナ」
「そっか」
おおおおおおーーー♥️
このペロペロはヤバすぎるーーー💕
シズクが落ち着いたところで地面に下ろし、ナガレにスキルのことを伝えた。
「ナガレ、スキルで新しく人化を覚えてたぞ!人間になれるみてぇだ!見せてくれ!!」
「ジンカ ? ワカッタ ヤッテミヨウ」
ナガレは光だし、輪郭が人の形になっていった。
おおー!あたしより、少しでかいくらいか?
光が収まり、ナガレの姿が露になった。
おおーーって!はだかーーー!!
·········ナイスです。
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