第24話 本能には抗えない!
ナガレに人化してもらった結果、毛色と同じく漆黒に白銀のメッシュの入った髪に、目は銀色、狼の耳、しっぽと、二十歳くらいの見た目で、クールビューティーのウルフカットをした獣人へと変わった、裸の彼女がそこにいた。
その身体は美しく無駄な脂肪もない筋肉質だった。
あたしは無意識に両手を伸ばし、その双丘を鷲掴みにして揉んでいた。
モミモミ
「あっ、主様何をしている?」
はっ!
流暢に話すようになったナガレの言葉で正気に戻った。
「いや、すまん!体が勝手に動いた。あまりにもナガレが、綺麗だったもんでな」
モミモミ
謝りながらも、揉むのをやめられなかった。
巨乳じゃなく、小さくもねぇ、丁度いい大きさでお椀型、まさに美乳!揉んでて気持ちがいい。
「主様がそうしたいなら、好きなだけするといい。ただなんだ、この感覚は初めての気分だ」
「なら、もうちょい揉ませてくれ」
モミモミ
「うっ!」
「痛かったか?すまない」
「いや、若干くすぐったいが、初めてでよくわからない。だが、どうやら我は高揚しているようだ」
しばらく、揉んでいたら、視界の端にアカツキとシズクが映った。
二人は不思議そうな眼差しで見つめてきて、アカツキから『主様~ナニしてるの?』と伝わってきた。
『二人にはまだ早い』と揉むのをやめ、【収納】からこの世界ではじめに着ていた服をナガレに渡し、着るように言った。
「どんな感じだ?」
「初めて服というものを着たが、窮屈だ。しっぽの部分が特にな」
「次の街で新しいの買うか、それまで我慢してくれ。我慢できねぇなら元に戻ってもいいぞ」
「いや、主様と一緒にいるなら、人型のほうが都合いい、このまま慣らすことにする」
「わかった。ちゃっちゃと街に行って、ナガレに合う服を買おう。それとな、あたしのことは忍って呼んでくれ。そういえばまだ名乗ってすら、いなかったな、すまんすまん」
「わかった。ある······いや、シノブ」
その後、アカツキの紹介をして、テントを片付けて街を目指すことにした。
最初は、ナガレの人型を慣らすために森の中を歩いていくことにし、慣れてきたらジョギングと早めて行った。
やがて森を抜け草原に出た。
アカツキとシズクは見晴らしのいい場所に出たことが嬉しかったようで、シズクが駆け出しアカツキがそれを追いかけて二人はジャレあっていた。
あたしは二人を見て『これを見るために、この世界にきたのか』と一瞬本来の目的を忘れかけたが、『違う!』と頭を振り止まった。
ナガレの横顔を盗み見たら我が子の楽しんでる姿を見て微笑んでいた。
二人のジャレ合いを見ながら、魔道具で方向を確認し、北を目指すと街道を見つけることができた。
そのまま進んでいくと、遠くに学園都市アトラスの城壁が見えてきた。
てか、めちゃでかくないか!?
「シノブ、街についたらどうするのだ?」
「宿を探してから、冒険者ギルドでナガレの冒険者登録とシズの従魔登録、その後でナガレの服探しだ」
「情報収集はいいのか?」
「情報はゆっくりでいい、まずはナガレとシズが人間社会に慣れるまではのんびりするさ」
今後の予定の相談と、あたしの日本でのことを話していると、門と並んでいる行列が見えてきた。
ここで、あたしは重大なことを思い出した。
やべ!アカ達のステータス【隠蔽】で弄るの忘れてたな。
案外、ルカールで吸血鬼ってバレたのは、これも原因の一つだったのかもな。
ナガレ達に事情を話し、ステータスを弄ることにした。
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名前
:アカツキ(暁)
種族名
:銀紅熊(クリムゾンベアー)(♀)
スキル
:猛血毒 咆哮 血纏い
:自己再生 サイズ操作
状態
:忍の眷属
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名前
:アカツキ
種族名
:ブラッディーベアー(♀)
スキル
:血毒 咆哮
状態
:シノブの従魔
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次はナガレだ。
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名前
:ナガレ(流)
種族名
:星屑狼(スターダストウルフ)(♀)
スキル
:咆哮 影移動
:自己再生 人化
魔法
:影魔法
状態
:忍の眷属
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名前
:ナガレ
性別
:女(20)
種族名
:狼獣人
スキル
:影移動
魔法
:影魔法
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最後はシズだな。
シズの場合は見た目から変えないとかなり目立つな。
ナガレとシズに見た目を変えて良いか聞いてみると『問題ない』『母様と同じ色ー』と承諾してくれた。
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名前
:シズク
種族名
:ダークウルフ
状態
:ナガレの従魔
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こんなもんで良いだろ。
毛色も進化前のナガレと同じ漆黒色にした。
ナガレにシズクのことを従魔扱いにしたと説明し、あたしがアカツキをナガレがシズクをそれぞれ抱き抱え、列に並んだ。
三十分程であたしらの番になり、ナガレの身分を証明するものがないため、銀貨一枚を渡し何事もなく、南門を通ることができた。
まず、宿を探すために適当に歩いたが、宿は見つからなかった。途方にくれていると、シズクが『くぅーん』と鳴きはじめた。
「どうやら腹が減ったらしい、我も減った」
「そういや、朝飯食ってから何も食ってなかったな、まだ【収納】に入ってるが、ここの飯食いてぇもんな」
周りを見てみたがこの辺には食べ物の露店が出ておらず、専門の店も見当たらなかった。
「ナガレ、匂いでわからないか?」
ナガレはすぐ嗅ぎはじめ『ついてきてくれ』と道案内をしてくれた。
案内にしたがって歩いていると、大きな十字路に出た。
「シノブ、向こう側とこっちから匂いがする」
ナガレは東側と西側をそれぞれ指した。
「ナガレが決めてくれ、好みでいい匂いがする方へ行っていいぞ」
「わかった」
ナガレは東側へ迷いなく向かった。
しばらく歩いていると飯屋が集中している区画に入ったらしく、周りは店だらけになった。
ナガレは他の店を見向きもせずにどんどん進んでいった。
周りから結構いい匂いはしてるが、そんなに違うのか?さすがは元は狼だな。
「シノブ!ここだ!」
ナガレはヨダレを垂らしながら、しっぽを千切れんじゃないかと思うほどの早さで振り、抱えているシズクも見事に同じリアクションをしていた。
シズは小さくて狼のままだから可愛いんだが、ナガレは見た目が良い分ちょっと残念な感じに見えちまうな。
「シノブ!なぜ笑ってる?早く来い!」
あたしは笑いながら、ナガレの機嫌がこれ以上悪くならない内に、行くことにした。
ナガレのお気に召した匂いの場所はシンプルに『肉や』と看板に書いてあった。
肉専門店ってことか?まぁ入ってみればわかるか。
中に入ってみると、いい匂いがしてきた。
「いらっしゃいませ。何人様ですか?」
「二人と従魔が二匹いるんだが大丈夫か?」
店員は『大丈夫ですよ』といい席に案内してくれた。
日本だと、決まった所くれぇしか、なかったがここでは違うか?
今回はたまたま、入れたが次はナガレにも言っとかねぇとな。
メニューを開いてみたが、写真や絵が載っているわけもなく、名前では解らなかった。
「ナガレは何がいいんだ?」
「肉だ!!」
店員に一人と二匹には、同じ肉メインの料理を三人前ずつ頼み、あたしはオススメを頼んだ。
しばらく待っていると、ナガレと足元のシズクがそわそわしていた。
それに比べ、アカツキはお利口にもマスコット座りで大人しく座っていた。
「シノブ!まだなのか!」
「もう少し待て、あたしらよりも先に来ている奴もいるし、あたしの頼んだ料理と、ナガレ達の肉料理九人前、作ってるんだ」
あたしはシズクを抱き上げ、ナガレとシズクに順番を待つことと、あたしの【収納】のことを教えることにした。
「人間の社会で過ごすのは、面倒なのだな」
「嫌になったか?」
「面倒ではあるが、我慢はする。シノブと一緒にいたいのだ!」
抱いているシズクからも、『ずっと一緒』と伝わってきた。
あたしは『よかった』と安堵し、シズクを撫でていたら、足元で頭を足に擦り付けて『ボクも主とずっと一緒』とアカツキが伝えてきた。
あたしはアカツキも抱き抱え、二人に店員が来る直前まで頬擦りをしていた。
料理はかなり美味しかった。
ナガレの鼻は店選びでも優秀であることが証明された。
次からもナガレに選んでもらった方がいいな。
会計の時、もちろん余裕で足りてはいたのだが、思った以上に高かった。
どうやらナガレ達が食べたのは、この店で一番高いやつで一皿、大銅貨三枚もしていたらしい、あたしが頼んだのも、三番目くらいに高く大銅貨二枚だった。
トータル銀貨一枚と大銅貨九枚となった。
ついでに店員に宿屋を教えてもらい向かうことにした。
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