じっとりした執着、覇道の先に回る因果、玉が如き濃密な一作
- ★★★ Excellent!!!
わずか9999文字の中に詰まった強烈な感情。これが全年齢に改訂されたものだと知って、まず驚きました。
青空文庫にでも迷い込んだような硬い雰囲気を維持しつつ、その内面にあるどろりとした執着を克明に記しています。
当時の言葉と文のみが頼りである社会において、讒訴がどれほど恐ろしい力を持つか。
その結果に得たものがどれほど重たく、互いの身と首を縛るのか。
そうして、静かでありながら燃え続けた激情の最期を見た時に讒訴の文字を見つけ、因果が巡るのだということを思い返すのです。
讒訴の意味が分からなくても大丈夫。後で調べて、「ああ」と吐息を漏らすのも一興。
BLというタグがついていますが、どうか恐れずに手に取ってほしいです。
小さく、けれど、ぎらりと光る妖しい玉(ぎょく)のようなお話でした。