アンビリーバース
ANZETT
第1話 出会い
これは私の作った妄想なのか
それとも記憶に蓋をしていたことなのか
時々聞こえる人の歌声
音楽
話し声
自分に向けられていると感じるそれは聞こえるはずがない、一人で部屋にいる時に聞こえた 空耳だと思っていた
「コンセントの中に虫がいる」
そういうと両親は何を言い出すのかと眉を顰めていた
コンセントを覗き込む父
コンセントを外して確認した
それがなんだったのか、私は知らない
公園で話をした人がいた多分男の人で若い人
何をしているのかわからない人だった
私が一人でベンチに座って母親が戻ってくるのを待っている時だった
幼かった私の目にはその人が不思議に映った
「どうして一人でいるの?」
こんにちはでもなく「どうして?」といきなり聞かれたことにびっくりして、しかし寂しさや退屈さ、不安をどこかにやってくれたその人を、悪い人だとは思わなかった。
こんな話を誰かとしたことがある
「公園に来れなかった時は盗聴器で話そう」
「盗聴器ってどこで覚えたの?」少し驚いた様子で聞かれた
「わかんないけどなんか知ってる」
「電池交換とかさ、どうするの?」
「コンセントにつければいいじゃん。」
「コンセントの外側?それじゃあ気づかれるよ」
「コンセントの中につければいいんだよそれなら気づかれない」
「でも、そんなことしていいの?犯罪になっちゃうよ」
「話せないよりその方が寂しくないじゃん」
そんな危ない話を、ふざけた調子で、でも楽しそうに話していた
そんな記憶
「もう思い出しちゃダメ」
お兄さんのことを母に話すとそう言われた
それから公園に連れて行ってもらうこともなくなった
私の記憶力は曖昧になり、ぼぅっと何も考えられなくなることが増えた。
アンビリーバース ANZETT @a1m2w4
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