第三話 能力の“裏”を読む

数日後。


 未来予知の癖をつかむため、俺はさらに調べた。

 すると、ある重要な法則に気づく。


『予知される未来は、俺が選んだ行動に“必ず必要な情報”になる』


 例えば、帰り道に百円を払えば、たいてい“危険回避系”が映る。

 図書館で百円を払えば、“注意しておくべき出来事”が多い。


 つまり、


未来予知はランダムではない。

状況に応じて、最も影響のある未来だけが表示される。


 その瞬間、背中に冷たい汗が伝う。


「ってことは……もし何も出なかったら?」


 未来に“何かが起こる”から予知が出る。

 逆に言えば、“危険も問題もない平穏なとき”には――?


 試しに家で百円。

 ゲームをしながら百円。

 寝る前に百円。


 三回連続で未来が出ない。


「……やっぱりか」


 どうやら家の中では、俺の生活に重大なイベントは起きないらしい。

 これは安心材料であると同時に、極めて重要なデータだ。


 つまり――


未来予知は“何かが起こる可能性がある場所”でしか発動しない。


 なんて便利で怖い能力だ。

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