試験……?





「不安だ……」


 いよいよ親からの知らせを受けてから1週間がたち、剣聖との試験をする日になった。

 剣聖を助けてから換算だと3日で、あれからというもの僕は剣聖と出会っていない。

 故に、これまでは安心して過ごせてたというものの……それも今日までだ。


 一応作戦というか、「助けたんだから何か言われる筋合いはないよね」的なセリフをぶつける準備はできているというものの、相手はあくまで僕の格上。領域支配ができたとて、僕じゃ到底太刀打ちできるわけがない。


 

「――あら、レイなら今日を楽しみにしてると思ってたのだけど」


 母――セレーネ・アルバス――が僕に言う。

 その「セレーネ」という名前からは想像できないほどの実力至上主義的な思考を持っているからこそ、本人もそれなり……いや、それなり以上の実力を持っている。さすがに肉弾戦は領域支配により簡易未来予知までできるようになった僕よりかは弱いだろうけど、そもそも我が母は魔法使用者だし……僕とは比べようがない。


 

「そりゃ不安だよ……僕、剣聖相手にいらんことしちゃったのに」


 もちろん、僕はあの日のことを両親に話してはいる。

 それで剣聖に怒られ、殺されたら自業自得だ――なんて、普通の両親からだと考えられないような反応だってもらっている。

 いやだからこそ不安なんだよと思はないことはないというか、そのせいで僕の不安は増幅されているわけなのだけど……。


「大丈夫かな……世界最強相手なんだから僕1秒も耐えれない気がする」


「耐えれたら耐えれたで私は満足なんだけど……その年齢で最強になれたら、歴史に残るわよ?」


「そもそも最強になったという時点で歴史に残るのは確定な気がするんだよなぁ」


 最強になるのは目標だけど、それはあくまで目標だ。そんな簡単に達成できない事なんて当然知っている。

 てか僕が原作を読んでいた時、チートみたいな性能してた主人公が最強ではなかったことから結構苦しい道のりだということは理解しているのだ。


「ほら、もう来るわよ」


「わかってるよ……」


 覚悟は……決まっていない。頼みの綱は、助けたという事実のみ。

 しかし、時間は止まってはくれない。待ってはくれないのだ。


 そうして、僕らアルバス伯爵家は剣聖を迎え入れるのだった――。




 ◆ ◆ ◆




 正直、期待はしていなかった。今回の貴族もどうせ、驕った七光りの若人だと、そう思っていた。


 

 ...

 ......

 .........



「あなたは……前の?」


 私がその言葉を放った途端、目の前の少年が顔をゆがめる。こう……どうしてか、恐怖の方面へ。

 しかし、そんな少年を前にして――私もまた、猛烈に驚愕していた。

 どうしてか? それは簡単。


 

 ――目の前にいるのが、私を助けようと森で魔物を倒してくれた少年だったからだ。


 

 私の経験的に……というか、私の経験外であっても、平民を助ける貴族というのは少ない。

 予想するに、貴族の子息というのは選民思想のような偏った思想を持った人が多いからだと思う。

 ときどき成人君主のような貴族も生まれるとはいえ、少ないし、淘汰される。故に、私は長い旅の中でそんな貴族を数えるほどしか見たことがなかったのだ。

 

 どうしてそうなのか? と、そんな疑問を感じて世界中を回るついでに調べたことがあった。

 その結果――貴族の子息は、必ずといっていいほど最初の教育課程で「自身は選ばれたものだ」と教えられていることが分かった。

 どうしてか、貴族というのは平民よりも生物としての格が高いと勘違いしている人が大体だ。そんな貴族による教育だからこそ、貴族の子供には間違った教育がなされてしまう。

 私が聞いた限りでは「平民は自身らの奴隷」なら優しい部類。

 「平民は自分のために命を落として当たり前」や、「平民は害獣だ」なんて、そんなことを言っているところだってあった。

 

 


 ……だというのに、だ。目の前の少年――アルバス伯爵家のご子息は、私を助けた。



 ――――これは、ついに私の望む人材が?

 

 この子の剣術はすでに一度目撃している。拙さを感じたとはいえ、それは年齢のせいだろう。

 期待できないと思っていた貴族に、そんな少年が出てくるだなんて……。

 期待できそうだな……と、そう感じると同時に、どうしてか――。




 ――私は、彼を試したいと。


 そう感じてしまった私は、ついつい刀を振ってしまうのだった。


 ……斬首刑になったりしないといいのですが、と。ちょっとした焦りも感じながら。


 


 ◆ ◆ ◆


 

 

 ――なんだろう、すごく嫌な予感がする。


 そう感じ、即座に魔力を放出し、この部屋を支配する。

 目の前で僕を眺め呆然とする剣聖から目を離さず、されど集中し、空間認識を使用する。


 ――――首が飛ばされる――ッ?!


 すると領域支配による疑似未来予知に映されたこの光景に驚きつつも、即座に机の下に隠しておいた剣を取り出し、防御。

 なんで? と疑問を叫ぶ間もなく連続した斬撃が僕を襲う。

 必死に剣で防御するも、僕の体には小さな傷が増えていくばかり。

 

 ……どれだけ経ってからだろうか。

 体中ボロボロで、もう立てない――そんなことを感じた直後、剣聖は言った。

 

「……表に出てください。試験をします」


 鬼畜かな? なんて、いつもなら出てくるであろう感想が出てくる余裕もなく。

 僕は、剣聖に引きずられて行くのだった。



あとがき――――

やはりスランプなのかな……?

めっちゃ書きにくい。ちょっと連載止めます(たぶん)。

なおるまでアニメでも見とこうかな……。

もしかしたら新作を出すかも。恋愛が書きたい。

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魔法不全の領域支配者 ~魔法の使えぬ悪役転生。僕だけの能力で成り上がる~ tanahiro2010@猫 @tanahiro2010

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