いわゆる昔ながらの吸血鬼ホラーの雰囲気が好きな方にはおすすめです!
「文体」で世界観があまりに強く創られているので最初は戸惑いがあるかもしれませんが、読み進めるにつれて、その世界観に自分が馴染んでいきます。
そして、この文体でなければ、この作品は紡ぎ出せないものだったのではないかと感じられるようになっていき、ふと、ページを離れると、「この世界」ロスになるような、それほどの強い空気を持った作品だと感じました。
この「文体」で世界観を創り出す手法は、よく見かけるものですが、本作に関しては、そのアプローチや切り込み方が斬新で、文学とも古典とも、そしてラノベとも文芸小説とも言えぬ、不思議な空間を漂わせます。
つまり「文体」自体が、「怪異」そのものであり、その「怪異」の中でだからこそ、吸血鬼という存在も自然な形で息づいていく……
「文体」というものに興味がある方にとって、一つの教科書になる作品ではないかと感じました。
これから旅が始まります。
とても楽しみです!