前作「サイバーパンク・フットボールーバロンドーラーは、AI社会に中指を突き立てる」で金の卵に選出され、”AIと人間性とのせめぎ合い”という一石を投じた作者が、
少年に与えられた悲劇、そして、そこから生み出された楔であり祝福ともいえる”声”を「カストラート」という18世紀ヨーロッパのオペラ界を支えた文化になぞらえて紡ぐ。
少年が周囲の人間と、どのように青春を送り成長していくのか、そして、彼の声が彼に与える物はいったいなんなのか。
常に独自の視点で、主人公の人生を見つめるこの作家のメインストーリーが素晴らしい。
今後の展開が楽しみでならない一作です。