いや……ええ、そういう意味か……!
困りました、どう書けばネタバレにならないのか……。
でもこんなすごい作品に出会ってレビューを書かないわけにはいかないじゃないですか!
頑張りますよ!
ええと、内容としては、娘の体が弱いので田舎の空気の綺麗なところに引っ越した、という家族の娘さんに、引っ越した先で早速友達ができる! というお話です。
……なんですが、それだけでは終わらないんですよね……。
途中で「おや、おかしいな?」と思うところが出てきて、それについては「ふむふむそうだよね」と読み進めることができたのですが、なんにも気にしてなかったところに、しれっととんでもない真実が明かされるんです。
もう、理解するのに数秒かかりましたよ!
直前まで本当になにも気にしてなかったものですから、素通りするところでした。
いやあ、「え?」って思えてよかった!
その明かされた真実を何度か読み返せてよかった!
あなたさまも、突然明かされる予測不能の真実、見落とさないでくださいね!
では、衝撃の物語へいってらっしゃい!
引っ越し初日、庭に現れた少女・志野。「ねぇ、何して遊ぶ?」と毎日誘ってくれる友達。おままごとで作る架空の町、必ず出てくる銭湯のシーン、そして繰り返される「溺れないでね」という言葉――
何気ない日常に潜む違和感。「初めて会ったはずなのに、何となくこの子を知っている気がした」という主人公の直感。会話の端々に散りばめられた不穏なフレーズが、読み進めるうちに別の意味を帯びてきます。
説明を排した淡々とした文体が、逆に恐怖を際立たせる構成。子供の無邪気な遊びと、その裏に隠された真実のコントラスト。ラストの両親の会話で全てが繋がる瞬間、背筋が凍ります。
短いながらも、何度も読み返したくなる完成度の高いホラー短編です。
肺が弱く、都会の空気に馴染めない主人公が越してきた田舎町。
主人公には、ある日突然「友達」ができる。
そして主人公は、友達とおままごとをする仲になる。
この子のおままごとは、ディテールが凝っており、まずは庭に街を描く。川、学校、八百屋、銭湯といった感じに。
そしてその街を使って、自分たちが何の役をやるのか決めるといった具合だ。
友達はその、庭に描いた世界で必ず、友達は『銭湯』に行きたがる。
先生をやっていても、それ以外をやっていても必ず主人公と銭湯に誘導する。
そして、架空のお風呂に入る主人公に対して必ず……
「溺れないでね」
と言うのだ。
演じているのは子供だが、役の上ではこの二人はお風呂屋さんであったり教師。つまり大人だ。
大人が、公衆浴場で溺れる……なんてことはそうそうない。
この不思議な「友達」のいう「溺れないでね」に込められた、悲しい思いとは……。
怖いと言うよりも、少し物悲しい物語。
古い友人に、会いに行きたくなるような気持ちになります。
ご一読を。