囚われの真似キン
天使猫茶/もぐてぃあす
真似キン
自分そっくりになるマネキン人形が発売された。その名も「真似キン」。
買った当初は普通のマネキンと変わらない形をしているがあることをすると姿を変えるのだ。
その方法はいたって簡単。
真似キンの口にキスをすればいいのだ。それだけで姿が変わる。
ちょっとしたジョークグッズとして発売された真似キンだったが、すぐに回収騒動が起こることとなる。
自分の姿に変えた真似キンが、夜な夜なすすり泣きのような声をあげる、というクレームがあがったのだ。
様々な人が調べてみると、なるほどたしかに姿を変えた真似キンは夜な夜なすすり泣きの声をあげている。その検証映像が動画投稿サイトを中心に広がったこともあり真似キンは回収されることになってしまった。
回収して困ったことになったのは発売元である。廃棄すれば良いと簡単に言うが、すすり泣くマネキンの廃棄など普通の神経ではなかなかそう簡単なものではない。
しかもただのマネキンではなく、それぞれが所有者にそっくりの姿形をしているのだ。
頭を捻っている内にある社員がこう提案した。
「人形供養に出せば良いのでは?」
なるほど、それならたしかに心理的なハードルは低い。さっそくとある有名な神社に真似キンたちは運び込まれた。
さて人形供養にと大量の真似キンが持ち込まれた神社。
ここで一つの疑問が浮かぶ。
「いったいぜんたいこのすすり泣いているのはどこの誰なんだ?」
そこで神社は供養の前にある高名な霊能者を呼び、この真似キンたちにはなにが宿ってるのかを聞き出すことにした。
仮になにも宿っていないのならばそれはそれで良いだろう。
神社の一同が見守る中、無作為に選ばれた真似キンの中にいる存在を自分の中へと呼び寄せた霊能者は口を開く。
「ああ、どうしてこんなことに……真似キンに口付けをしたらこの中に閉じ込められてしまった。私の名前は……」
それは、その真似キンの元の所有者の名前だった。
囚われの真似キン 天使猫茶/もぐてぃあす @ACT1055
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます