溢れる悲しみと決意
絵里花の惨殺死体を前にして、帆乃は体を震わせながら憲治の肩に縋りついた。瞳からは涙が溢れて止まらない……一人では感情を処理しきれないのかもしれない。
「憲治……絵里花が……絵里花が……ひっく」
「帆乃……」
聖澤とは……それなりに仲が良かった、と思う。新聞部の面々と同じくらい親密という程ではないにせよ、他のクラスメイトの女子と比べれば話す機会は多かった。帆乃も同じだろう、じゃなきゃこんなに悲しんだりはしない。
―――
「ふふ……確かに氷上君の言う通りかも」
-――
俺だって……本当は泣きたい。だけどこんな状態の帆乃をほおっておけないだろ……俺まで感情に任せて泣いていたら、帆乃は一体誰に縋れば良いんだ?
「どいて!! 通して!!」
後ろから聞きなれた声が迫ってきた。振り返ると……それは美南だった。人ごみをかき分けて絵里花の死体の前に立つと、美南は憲治と帆乃以上に顔を真っ青にして体を震わせた。
「えり……か? そんな……そんな」
美南は両膝を床に付け、滝のように涙を流しながら震える手で絵里花の顔に触れた。誰が見ても死んでいるのは明白だ、それでも一縷の望みに賭けたい……そんな想いが感じられる行為は実を結ばず、美南はガクリと肩を落とした。
「どうしてよ……昨日も一緒にいたじゃん……笑ってたじゃん……」
「今日だって約束してたじゃない……一緒に甘い物食べて、憂鬱な気持ち吹き飛ばそうって、行く店も決めてたじゃない」
「嘘……こんなの嘘よ……絵里花が死んだなんて。いや……いやああああ!!!!」
美南は両手で頭を抱えてうずくまり、絶え間なく大粒の涙を流した。彼女の悲痛な叫び声は廊下全体に響き、誰もが彼女と絵里花の絆の深さを感じずにはいられなかった。そんな中、校長と教頭が現場に到着し、校長は絵里花の死体を目にすると目を丸くして悲鳴をあげた。
「ひっ!! わ、わしの……わしのせいじゃない!!」
「校長!!」
責任逃れのような見苦しい姿を見せ、去っていく校長を教頭は追いかけた。その姿を目の当たりにした美南の瞳には、憎しみの炎が宿っていた。
***
憲治と帆乃が2年A組の教室に行くと、多くのクラスメイトが絵里花の席の前で涙を流していた。机の上には誰かが用意した花瓶が置かれ、花が添えられている。
「うう……聖澤さん」
「絵里花……どうして」
誰もが絵里花の死を深く悲しんでいた。当然か……聖澤はクラスメイトみんなに愛されていた、あいつのことを悪く言う奴なんか見たことがない。華やかなタイプではないけど、優しくて気遣い上手で可愛くて……
そう思いながら憲治は教室を見渡すと、あることに気づいた。美南が……いないのだ。あれだけ深い悲しみに襲われていたんだし、トイレで思いっきり泣いているか体調を崩して保健室にでもいるのか? 心配になり、憲治はクラスメイトに尋ねた。
「なあ、二宮どこに行ったか知ってるか?」
「二宮さんなら……職員室に行くって言ってたよ」
「職員室? 何でまた」
「何か、抗議するとかなんとか」
「憲治……さっき校長と教頭が来て、すぐに逃げていったでしょ? もしかして」
「それだ!!」
帆乃の言葉で合点がいき、憲治は帆乃を連れて職員室に急いだ。今回の殺人事件が死神の仕業だとすれば、その死神を復活させた諸悪の根源は【死神の岩】を撤去することを先導した校長と教頭だ。加えてさっきの責任逃れのような発言……美南の怒りに火を付けるには十分だ。
「ちょっと君、落ち着いて!!」
「あんたらが……あんたらがあの岩を撤去したから死神が復活して、絵里花が殺された!! あんたらのせいだ……絵里花を……絵里花を返して!!」
「ぐ……離せ」
憲治と帆乃が職員室に着くと、そこには校長の胸ぐらを掴んで怒りをぶつけている美南の姿があった。教頭が必死に止めようとしているが美南にとって教頭も怒りの矛先だ、火に油でしかない。
「美南!!」
「離して帆乃!! こいつら、絵里花を殺しただけじゃなく何の責任も感じてないんだよ? 許せるわけ……ないじゃない!!」
「はっ……死神なんて馬鹿馬鹿しい、変質者の仕業に決まってる。言いがかりも大概にしろ」
「……お前、それでも校長か!!」
「美南、とにかく落ち着こう。話、聞くから」
帆乃はやり場のない怒りに震える美南を連れて職員室を出て行こうとするが……途中で振り返って校長と教頭を睨みつけた。表に出さないだけで、帆乃も相当な怒りを感じているのは明白だ。それは……憲治も同じだった。
***
教室に戻り、美南を席に座らせて憲治と帆乃は彼女に寄り添った。美南は一つ息を吐き、俯きながら呟いた。
「ごめん、帆乃……氷上も」
「ううん、気にしないで。気持ちは……分かるから」
「帆乃の言う通りだ、謝る必要はない」
「……ありがとう」
「くっくっく……」
「一ノ瀬?」
絵里花の死で悲しみ一色に染まっている教室に、場違いな声が響いた。何となく予想は出来たが、憲治がその声の方向に振り返ると……そこには栄斗がいた。
「まさか本当に流れ弾に当たっちまうとはな……傑作だ」
「!!??」
美南は椅子から立ち上がり、目をギロリと開いて怒りに満ちた表情を浮かべ、栄斗の胸ぐらを掴んだ。栄斗はまるで動じる様子がない。
「あんた……それ、本気で言ってんの?」
「事実を述べただけだろ?」
「よくも……よくも絵里花の死をそんな風に!!!!」
美南は瞳に宿る憎しみの炎の温度を更に上げ、栄斗の胸ぐらを掴んでいる手の力を更に強めた。もう片方の手は今にも栄斗を殴りそうな程震えている。
「おーおー、姫を守る騎士は怖いねえ。そんなにあいつのことが大事だったんなら、ずっと傍にいれば良かっただろ」
「!!??」
栄斗の言葉に美南はハッとなり、目を丸くした。先程までの力強さは鳴りを潜め、栄斗はそんな美南の様子を見てニヤリと笑った。
「騎士様がだらしないから、お姫様は殺されちまったんじゃねえのか? つまり……お前が殺したみたいなもんだ」
「わ……私が絵里花を……ころ……した?」
美南は栄斗から手を離し、その場に両膝と両手を付いた。その表情はすべてに絶望したような雰囲気で……ちょっとでも触れば壊れてしまいそうな程脆かった。
「おい一ノ瀬、いくらなんでも今のは酷すぎるだろ!!」
「へえ……お前らがよく言えたもんだな」
「な、何だと?」
「聞くがな、お前らは【死神の岩】の撤去に反対したのか? 俺が知る限りほとんどの奴はどうせ迷信だって一蹴して、むしろ賛成していたと思うが?」
「そ、それは……」
「つまり、お前らも同罪ってこった。クラス全体が聖澤を殺した、これはこれでまた面白いかもしれねえなあ」
栄斗の嘲笑に誰もが怒りを感じつつも、言い返せなかった。いつもそうだ、栄斗の言葉は人の神経を逆なでするが的外れではない。論陣を崩すのは……容易ではないのだ。
「一ノ瀬……人の心を弄ぶのもいい加減にしろ」
「何だあ氷上、俺は間違ったことは言っていないが?」
「だからといって、何を言っても良いわけじゃねえんだよ!!」
「ほう……」
「誰もが、こんなことになるなんて予想出来なかったんだ。みんなが聖澤の死を悲しんでいる時に傷口に塩を塗るようなことは……少なくともやって良い行為じゃない!!」
「氷上……」
憲治の言葉に栄斗は少し感心したような表情を浮かべ、美南の表情に僅かばかりの光が灯ったように見えた。
「へっ……ま、良いさ。お前もせいぜい気を付けるこった」
栄斗はそう言い、余裕の表情を崩さずに去っていった。憲治と帆乃は美南のもとへ行き、手を取って立ち上がらせた。
「美南、保健室行こう。今は……休んだ方が良い」
「うん……ありがとう、帆乃」
***
保健室に着き、美南はベッドに座った。表情に落ち着きが見え始め、憲治と帆乃も少し安心した。
「氷上……さっきはありがとう。氷上が言ってくれなかったら私……潰れてたかも」
「気にすんな、俺も一ノ瀬に腹立ってたんだからよ」
「酷いよね一ノ瀬君、美南がこんなに傷ついている時に」
「でも……腹は立つけど、あいつの言うことも一理ある。私が傍にずっといれば……絵里花は死なずに済んだかもしれない」
「それに関してはイフの域を出ないさ、それこそ二宮を気絶させてから聖澤を殺すなんて手を犯人は取ったかもしれないし」
「……ありがとう」
美南の表情に、段々と光が戻っていくように見えた。二宮の自責の念がこれで無くなるとは思えない、だけど……少しでも和らげてやりたい。もうこれ以上、二宮は辛い目に遭うべきじゃない……
「絵里花はね……私の憧れなの」
「憧れ?」
「私って、こんなんでしょ? ガサツで乱暴で……女の子らしさなんて微塵もない」
「そんな!! 美南は十分に可愛いじゃない」
美南の自虐的な言葉に、帆乃は思わず大きな声をあげた。その言葉が嬉しかったのか、美南の表情に更に光が戻った。
「ありがとう。でもね、傍から見ればやっぱり私は女の子らしくないんだよ」
「……」
「その点、絵里花は違う。おしとやかで可愛らしくて、話してて穏やかな気持ちになれて……私が憧れる女の子の形そのもの。だから……そんな子が私のこと友達だって言ってくれるのが……親友だって言ってくれるのが、凄く嬉しかった」
「美南……」
「だから私、あの子とずっと一緒に居たいって思ってた……守ってあげたいって思ってた。なのに……」
美南は再び瞳から大粒の涙を滝のように流し、両手で顔を押さえた。先程までは怒りが先行していた故に収まっていたが……また悲しみが湧きだしてきたのだろう。
「もう絵里花は笑えない……喋れない……どうしてよ、どうしてあんな良い子があんな酷い目に遭わないといけないの?」
「二宮……」
「凄く怯えた表情で、全身血まみれで……あの子が何したっていうのよ!! あの子の未来を奪う権利が、誰にあるっていうのよ!! 理不尽すぎる……」
「美南……力を、貸して」
「え?」
帆乃の言葉に、美南は目を丸くした。帆乃の表情には決心が溢れていた、それは……憲治も同じだった。
「絵里花を殺した犯人を、一緒に捕まえよう」
「で、でも犯人は死神じゃ」
「まだそう決まったわけじゃない、死神の名を語った何者かの仕業かもしれないし」
「……」
「美南、私も絵里花を殺した犯人が許せない。憲治も……同じ気持ち。だから……力を貸して」
「……分かった。2人とも……ありがとう」
帆乃の言葉に、美南はようやく笑顔を浮かべてくれた。もう大丈夫だろう、憲治と帆乃も顔を合わせて、笑顔を浮かべた。
***
その日の放課後、新聞部の部室で憲治と帆乃は美南と約束したことを報告した。犯人を捕まえるにはもっと多くの力が必要だ、新聞部の協力が不可欠なのだ。
「なるほど、話は分かったわ」
「それじゃ」
「だけど……正直、私は賛成しかねるわ」
「ど、どうしてですか、愛音さん!!?? そりゃ個人的感情かもしれないですが」
「そうじゃないわ、氷上君。大切なクラスメイトの為に、という理由は正当なものだし、私だって尊重してあげたい。だけどね……リスクを考えると、簡単には首を縦には振れないのよ」
「リスク?」
愛音の言葉に戸惑っている憲治に向かって、淳也がため息をついて真剣な目を向けた。普段はおちゃらけているが、いざという時は意外と頼りになるのだ。
「憲治……考えてみろ、決まったわけではないが相手は死神の可能性が現状では高い。そんな得体のしれない怪物に、いち高校生でしかないオレ達が立ち向かったら……どうなると思う?」
「あ……」
「オレだって聖澤を殺した犯人が憎いさ。けどな、もし感情のままに捜査を進めたら……帆乃ちゃんまで聖澤と同じような目に遭うかもしれないんだぞ? 帆乃ちゃんだけじゃねえ、愛音先輩や冷花ちゃん、亜里沙ちゃんもだ。お前は……それを考えているのか?」
淳也の言葉に、憲治は自分の考えの軽率さを恥じた。そうだ……これは俺だけの問題じゃない、新聞部みんなの命が……かかってる。愛音さんは部長だ、部員みんなの身を守ることを優先するのは……当然じゃないか。
―――
「へっ……ま、良いさ。お前もせいぜい気を付けるこった」
―――
一ノ瀬のあの言葉も、多分俺自身というより帆乃のことを言っていたんだろう。もし帆乃に万が一のことがあったら……俺は自分を制御できる自信がない。聖澤を失って取り乱した二宮は……未来の俺である可能性はゼロじゃない。
「憲治……私のことは気にしないで」
「帆乃……」
「怖くないって言ったら嘘になる、絵里花の死体を思い出すと今でも体が震えるよ。だけど……やっぱり何もしないなんて嫌。絵里花も……美南も……友達だもん」
「氷上先輩、わたしもです」
「冷花ちゃん……」
「正直、聖澤先輩のことはよく分かりません。ですけど、氷上先輩と白雪先輩と寒川先輩にとって大切なお友達だったのは……伝わってきます。わたしは……尊敬する先輩方を悲しませるような輩を許せるほど、お人好しではありません」
「あたしも冷花ちゃんと同じです。怖いのは憲治先輩だって同じなのに、立ち向かおうとしている……そんな姿見ちゃったら、自分だけ逃げるなんて出来ないですよ」
冷花ちゃんも亜里沙ちゃんも、命の危険に晒されることを分かっていながら協力してくれる……本当に、良い後輩を持ったな、俺は。
「……愛音先輩、帆乃ちゃん達はこう言っていますけど、どうしますか? 決めるのは……部長である、あなたです」
淳也は腕を組み、神妙な表情を浮かべて愛音に尋ねた。多分……淳也は3人がそう答えることを予想していたんだと思う。確認のために俺にああ言ったんだろうな……本当に、いざという時は頼りになる奴だ。
「……分かったわ。みんながそう言うなら、私は止めない」
「愛音さん……」
「だけどみんな、くれぐれも無茶だけはしないで。今までは所詮伝説だからって楽観的な考えが私にもあったから首を突っ込んでいたけど……今は違う、命の危険と隣り合わせなの。ゲームみたいにコンティニューは……出来ないのよ?」
愛音の言葉は、非常に重みがあった。最上級生として、部長として……心の底から心配してくれているのが伝わってくる。こういう人だから……俺達は迷わずついていくことが出来るんだろうな。
「肝に銘じます。それで冬野部長、まずはどうするんですか?」
「そうね……まずは用務員の人に話を聞きに行くわ」
「用務員って……
「そうよ、春雨さん。聖澤さんの死体の第一発見者は彼なの、何か知っているかもしれないわ」
「そ、そうですね……」
確かにその通りだが……どうしてそんなことを冬野部長は知っているんですか、と冷花が言いたげなのが印象的だった。愛音さんも愛音さんで、多分こうなることを予想して調べていたんだろうけど……相変わらず底が知れない人だ。
***
愛音を先頭に憲治達は用務員室に向かった。部屋の扉をノックすると、50代程の男性が出迎えてくれた。
「おお、冬野君か。どうしたんだ?」
「ちょっと込み入った事情なので、落ち着いて話したいんですが」
「分かった、そこに座っていてくれ。お茶を入れる」
「なるほど……事情は分かった」
「本来なら首を突っ込むべきではないのかもしれません。ですけど……やはり大切な友達を失ってじっとしていろというのは無理なんです。それに……この事件はこれで終わりとは私は思えません。新聞部として……出来ることはあるんじゃないかと」
「確かに小回りの利かない警察では出来ないことが、君達なら出来るかもしれない。新聞部が優秀なのは私も知っているしな、部長である君の教育の賜物かな?」
「いえ、みんな優秀な子ですから。私はちょっとしたお手伝いをしているだけです」
信彦と愛音はそう言って、笑いあった。愛音さんが優秀なのは有名だけど、まさか五島さんも俺達のことを高く評価してくれていたとは……愛音さんが褒めてくれたのも何だかんだで嬉しいな。
「それで五島さん、絵里花……いえ、聖澤さんの死体の第一発見者だって伺っていますけど、何か知っていることはありませんか?」
「……発見したのは朝の見回りの時だ。時間は……6:30~7:00の間くらいだったか。音楽室の前に差し掛かった時に……な」
「それ以外には?」
「いや、特には。私も血まみれで倒れている聖澤君を見て慌てて通報してね。その後は警察や校長にあれこれ聞かれて……今に至るというわけだ」
「そうですか……」
帆乃は前のめりになって信彦に尋ねたが、これといった情報を得ることは出来ずに肩を落とした。そう簡単に有力な情報を得ることは出来ない……そう思っていた憲治の隣で、愛音は確信に満ちた表情で信彦に尋ねた。
「五島さん……何か隠していることがあるんじゃないですか?」
「!!??」
「そのどこか煮え切らないような表情……嘘が下手って言われません?」
「……冬野君には敵わないな」
「あるんですか、まだ!!??」
「ああ。しかし、にわかには信じられない話だ。実際、警察や校長にも話したが、まともに取りあってくれなかった」
憲治もまた前のめりになって、信彦に尋ねた。なるほど、だから話すことを躊躇ったのか……だけど、今はとにかく情報が欲しい。
「五島さん……話して、いただけませんか?」
「……分かった。昨晩の見回りの時だ、時間は20:30~21:00くらいだったか。本館の2階の図書室に近い辺りを歩いていた時……私は見たんだ」
「見たって……何をですか?」
「……大きな鎌を持った死神だよ。しかも……片手で女子生徒の首根っこを掴んで、ずるずると引きずって歩いていたんだ」
「「「「「「!!??」」」」」」
新聞部6人全員が、信彦の言葉に目を丸くして驚いていた。死神……絵里花の死体の状況を見て誰もがそうだろうと思っていながら、どこかまだ信じきれないところがあった。しかし……改めて突きつけられた現実に、言葉を失うしかなかった。
「その女子生徒っていうのは……聖澤でしたか?」
「ああ、私は目は良い方なのでね。顔を確認したが、間違いなく彼女だった。気絶しているように見えたが、血まみれではなかったから、あの時点では生きていたんだろう」
「それで……どうしたんですか?」
「もちろん追いかけたさ。そうしたら、死神は図書室の前辺りで立ち止まって……消えたんだ」
「消えた?」
「文字通り、な。しかも次の瞬間には……別館の二階に聖澤君と一緒に出現したんだ!! そのまま死神と彼女は……いなくなってしまった」
憲治はもはや、現実感を失っていた。死神という存在だけでも到底信じられないのに、その先には更なる非現実が待ち構えていた。
「憲治、それって……」
「瞬間……移動」
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