観客なし、実況なし、死して屍拾う者なし

静か……である。

肉を打ちつける音だけが、乾いた空気を震わせていた。

誰も知らない。誰も気づかない。

この場所に今、何かが刻まれていることを。

怪異におのれの肉体のみで立ち向かう者もすでに怪異であろう。

読んだ後、無性にクッションを殴りたくなった。