第35話 人魔戦線2
「やったぜ!!」
「うおおお!!」
御岳の声と一緒に、周りの人々の歓声が響き渡る。
しばらく、その騒ぎは続いたが、誰かが
「おい。ちょっと待て!!」と叫んだ。
ボクは、カメラ映像の中で、地面に落ちたドラゴンたちから白い煙のようなものが立ち
「あれは何だ?」
御岳が呟くと、護雷神のカメラが何かをズームアップした。
それは黒いローブを被り、古びた杖を持った三本の長い角を生やした老人だった。
杖を掲げ、何やら大声で叫んでいる。
「魔族の魔道士だ。ドラゴンが別のものになって復活するぞ……」
ロフウの言葉が響く。
すると、煙を上げて揺らめいていたドラゴンたちの死体が、ドロドロに溶けて盛り上がっていった。周囲の土ごと死体が盛り上がり、人のような形になっていく。
「ドラゴンの死肉と富士の土を混ぜ合わせたゾンビ・ゴーレム……」
ロフウが呟く。
すると、地面を蠢くゾンビ・ゴーレムたちは一斉に自衛隊に向かって歩き始めた。
自衛隊の火力武器も一斉に火を噴いた。
戦車主砲が身体を貫き、榴弾砲が腕や足をちぎる。機関砲も幾重にも身体に穴を開けていく。
だが、ゾンビ・ゴーレムは身体を削られ、地面に伏しても何度も何度も立ち上がる。腕や足がちぎれても、その部分に土が盛り上がり再生した。
その動きはゆっくりに見えるが、身体が巨大なため歩幅が大きい。ゾンビ・ゴーレムはすぐに最初の戦車隊に近づいた。
振りかぶったパンチの一撃が戦車を襲う。
一瞬、虹色に輝く透明な壁が現れ、パンチを受け止めるが、ゴーレムは戦車の下に手を入れて一気にひっくり返した。そして、戦車の下にパンチを食らわせ、キャタピラを引き剥がす。
ゾンビ・ゴーレムはまずは機動力のある戦車隊に集中することにしたらしい。次々に、同様に戦車がひっくり返され、キャタピラを壊されていく。
「このままじゃヤバい。護雷神と護雷狼も出るぞっ!!」
「いや。まだだ!!」
御岳の声に続いてロフウの声が叫ぶ。
ドギューーーンンッ!!
空気を切り裂くような強烈な銃声が一発聞こえた。
時をおかず、続けて銃声が鳴り響き、ゾンビ・ゴーレムが地面に倒れる。
巨体が見る見るうちに、ドラゴンの死体の混じった
「何だ!?」
「ナッチだ。魔法探査でゴーレムの核である魔晶石を見つけて、五〇口径の対戦車ライフルで撃ち抜いている。もちろん、私の強化魔法で処理済みの特製弾丸だ」
続いて、また二発の銃声が鳴った。
ゴーレム一体に続き、魔族の魔道士にも弾丸が直撃する。
だが、魔道士は恐らく魔法防御を展開したのだろう。一旦倒れたが、足を引きずるようにしながら逃げ出す。
「まだ、行くぞ」
ロフウの言葉に続くように、また二発の銃声が鳴った。
この二発は魔道士の頭の同じ箇所に続けて炸裂した。最初の弾は出現した透明な魔法防御壁へめり込み、寸分違わず同じ場所に撃ち込まれた二発目の弾が貫通した。
魔道士の頭は根こそぎ吹き飛び、地面に倒れた。
さらに、二発。また二発と、銃声が鳴り響く度に、ゾンビ・ゴーレムは倒れて、
「こいつは、凄すぎるな……」
自衛隊関係者が呟くのが聞こえた。
まさに、蹂躙されるかのごとく、ゾンビ・ゴーレムが倒れていく。
気がつくと、こちらの戦車や機動戦闘車もかなりの数が減らされていたが、ゾンビ・ゴーレムは全滅していた。
「ナッチは、どこにいるんだ?」
「少しずつ移動しながら撃っていたんだが、今は少し離れた場所に移動中だ。居場所が見つかると遠隔魔法でやられる可能性があるからね」
御岳の疑問にロフウが答え、さらに続けた。
「……だが、今のドラゴンとゾンビ・ゴーレムとの戦いで魔法強化した弾丸や武器をかなり消耗してしまった。魔法強化済みの武器を削ること。これが奴らの狙いだったのかもしれない」
ロフウの言葉から、焦りが伝わってくる。何しろ、まだ極炎のバハルも魔王ゼオンも現れていないし、その直下の上級魔族たちも現れていないのだ。
「俺も、護雷神も、いつでもいいぞ……」
御岳の覚悟を決めた声が聞こえた。
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