第13話【なるほど、ここがタイトル欄ってわけだネ?】

 この小説が始まってまだ十三話なのに、悪魔見つかるの早すぎーって、思わない?

 展開が早いよね。作者が飽き始めてるのかな? それとも昨今のタイパに倣ってすぐに読み終わるように駆け足で終わらせようとしてるのかな? だとしたらやっぱり作者の実力不足だよねー。


 え、誰が誰に話しかけてるのかって? まず誰に話しかけてるのかっていうのは、これを今読んでる読者のアナタにだよ。だいたいわかるよね。


 で、誰が話してるのかというのは………



「おいクレイオス…さっきから誰に話しかけてんだよ…またあれか、第四の壁がどーたらこーたらってやつか?」

 英斗は真っ暗闇の中に漂っていた。目の前には小さな、シルクハットを被ってステッキを持った棒人間が七人いる。

「「「「「「「今さぁ、読者様とお話してるんだから邪魔しないでおくれよヒデトくん~」」」」」」」

「同時に喋んな。ハモんな」

「「「「「「「因みにヒデトくんの事はカタカナで呼んでるからね~。なぜかって? エイトって読む人がいるかもしれないだろう?」」」」」」」

「読む人ってなんなんだよ…つか出せよここから…」

「「「「「「「僕に会いたかったんだろう? だって、あと見つかってない悪魔は僕とアメフラシとギャンザーだけだからね~」」」」」」」

「〇〇〇〇〇の名前フツーに呼ぶなよな…まぁ、お前にはそういうの関係ないんだろーけどさ…」

「「「「「「因みに今、読者にバラしたの君だからね」」」」」」

「何の話だよ…読者って」

「「「「「「「けど懐かしいよねぇ~。最後に会ったのは確かマンガ版の時だから…十六、七年くらい前かな?」」」」」」」

「マンガ版ってなんの事だよ…。最後に会ったのはお前らが出ていった十年前だろーが」

「「「「「「「そうだっけ? あははははっ。あぁ、あとね、悪魔たちの封印解いたの僕だから」」」」」」」

「しれっと重要なこと言うなよっ。どうやったかは聞かねぇけど…。あぁ、なんでそんなことしたかも聞かねぇわ…」

「「「「「「「聞かれてないけど答えると読者のためだよ」」」」」」」

「もういいわ…。つか悪魔たちが出てったあとそれぞれの元の場所に封印したのもお前なのか?」

「「「「「「「それは僕じゃない。誰が封印したのかも知らないよ。因みに僕と〇〇〇〇〇は封印されちゃいないよ」」」」」」」

「お前はフザケた奴だけど何故か嘘がつけないんだよな…なら誰の仕業だ…?」

「「「「「「「君の中に悪魔が戻って欲しくないヒトだろうね」」」」」」」

「俺に悪魔が憑いてたら都合が悪い奴がいるってのか…?」

「「「「「「「そもそもどうしてあの時、突然君の中の天使の力が増したんだろうねぇ?」」」」」」」

「それは俺も気になってんだけど…」

「「「「「「「あぁ…そろそろ時間だ。残念だけど。また今度だね」」」」」」」

「ちょっと待てクレイオス、再契約してくれよ」

「「「「「「「それはまだ早いかなぁと思って。君的にはどうなんだい、今の流れは?」」」」」」」

「…確かに目的がサクサク進むのは願ったりだが…こう種明かしされるとなんか気に入らねぇっちゃあ気に入らねぇかな。お前の手のひらの上ってのが」

「「「「「「「それこそ君だね」」」」」」」

「まぁな、俺もマンガとか読んでると苦手なんだよ、ご都合主義って」

「「「「「「「そのほうが面白いか。なら今は、まだ戻ってやらないよ。君たち登場人物で頑張りな~」」」」」」」

「………ホント、苦手だお前は………」

 視界が突然光で満ちる。眩しくて目を閉じるーーー。


 瞼の裏に残る光を煩わしく感じながら、英斗はゆっくり目を開けた。いる場所は車の助手席。隣ではケイが運転している。後ろを見ると、ヒロ子はアイマスクをして眠っていて、サエ子は外の景色をぼんやり眺めて、そしてガイは姿勢正しく前を向いて座っていた。外を見る。ビルやコンビニが並ぶ街の景色。遠くには山が見えた。

「起きたんですか、社長」

 ケイが前を向いたまま言った。

「俺、寝てた?」

「えぇ、そりゃあもうぐっすりと。羨ましいったらないですよ。もうすぐレンタカー屋に着きますよ」

「そっか…運転悪いな」

「別に………なんですか急に」

「なんでもねーよ………。クレイオスは…戻ってねーか」

 英斗はさっきまで過ごしていた特殊な時間を悔しく感じるも、どこか微笑みながら思い出していた。


続く

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