第5話叱られ保育士と無邪気な陥落
氷室みなみ先生が調教システムに加わって以来、
私の日常は地獄と快感の二重奏となった。
みなみ先生の叱責は、純粋な嫌悪と冷徹な軽蔑に満ちていた。
「汚点」「汚らわしい」といった言葉は、私の存在そのものを否定し、
そのたびに私は羞恥と快感で打ちのめされた。
一方、さくら先生の優しい支配は、みなみ先生の軽蔑で傷ついた心に麻薬のように染み込んだ。
二人の異なる支配者の間で、私の心は常に張り詰めていた。
屈辱の快感は頂点に達していたが、
同僚たちの中で誰よりもひどい扱いを受けているという現実は、
私の理性の最後の部分を削り取っていった。
※※※
昼食後の休憩時間。
職員室には、さくら先生やみなみ先生は別の用で席を外しており、
私と星野ゆうな先生だけが残っていた。
ゆうな先生は、私の顔色を見て心配そうに言った。
「ねえ、良介先生。最近、さくら先生とみなみ先生、ちょっとキツすぎるよね。
良介先生、本当に可哀想だよ」
いつも軽口でからかってくるゆうな先生の心から心配してくれている優しい言葉は、
保育学校時代に唯一私に優しくしてくれた一人の後輩を思い出させた。
その言葉は、この園で久しぶりに聞く、偽りのない無垢な優しさだった。
私は、その優しさにどう反応していいか分からず、ただ戸惑うしかなかった。
「私、ちょっと二人に言ってくるね!
あんなにきつく叱る必要ないって。良介先生も頑張ってるのに!」
私が止める間もなく、ゆうな先生は席を立ち、勢いよく職員室を出ていった。
彼女の純粋な介入が、この支配の構造を壊してしまうのではないかという緊張感が、私を支配した。
しかし、その緊張感はすぐに粉砕される。
五分後。
ゆうな先生は、少し興奮したような、そしてどこか愉悦を含んだ顔で、小走りに職員室に戻ってきた。
その手には、見覚えのある『黒い、無地のDVDケース』が握られていた。
「あはは、全部聞いちゃったよ、良介先生!
良介先生ってば、こんな変態さんだったんだね!びっくり!」
ゆうな先生は、私のデスクの端にDVDケースをポンと置き、
両手を腰に当てて、不満げに頬を膨らませた。
その態度は、まるで大好きな遊びに自分だけ誘われなかった子供のようだった。
「3人でこんな楽しそうなことしてたなんて、ずるいよ!
だからね、さくら先生とみなみ先生に、私も仲間に入れてもらったからねー!」
その無邪気な笑顔が、みなみ先生の冷徹な軽蔑よりも、
さくら先生の優しい支配よりも、私に深く、決定的な屈辱を与えた。
私は、もうこの園の誰に対しても、まともな人間として存在することは許されないのだと悟った。
その日の午後、私の調教システムは「三人体制」へと移行した。
休憩時間が終わり、園児たちが昼寝から目覚めて活動を再開している。
さくら先生とみなみ先生が静かに見守る中、ゆうな先生による新しい調教が始まった。
それは――「仕事の失敗を口実にした、屈託のないからかい」。
私が園児のコップにお茶を注ぐ際に少しこぼしたのを見つけると、
ゆうな先生はすぐに私をからかい始めた。
「あーあ、良介くんってば本当にドジだねー。
年下に叱られたい変態さんなのに、こんな簡単なこともできないの?
手が震えてるよ、私に叱られたくて興奮しちゃった?」
彼女はそう言いながら、まるで遊ぶようにコップを拭き取り、私の頬を軽く突いた。
その無邪気な行動一つ一つが、私の性癖を公然の事実として扱い、逃げ場を奪っていった。
さらに、教材準備中にハサミを置き忘れたとき。
「ダメだよ、良介くん。ハサミを忘れるなんて。こんな不注意な子じゃ、私に怒られちゃうぞ。
ほら、私の目の前でハサミ探しの競争ゲームだよ!負けたら変態さん決定ね!」
負けることを期待するような、キラキラした笑顔で彼女は私を煽る。
私は急いでハサミを探すが、焦るほどに見つからない。
その屈辱的なからかいが続いた、その瞬間だった。
活動中の園児の一人、アヤちゃんが、不思議そうな顔をして近づいてきた。
「ねえ、ゆうな先生。なんで良介先生、怒られてるのー?」
ゆうな先生は屈託のない笑顔をアヤちゃんに向け、そして私を指さした。
「良介先生? 良介先生はね、怒られるのが大好きなんだよー!
だって、叱られないと元気が出ない変な人なんだもん!」
さらに、彼女は付け加えた。
「だからね、アヤちゃん。良介先生がまたドジしたら、アヤちゃんも代わりに怒ってあげて。
良介先生、年下の子に怒られるのが一番好きなんだよ!」
その言葉を聞いたアヤちゃんは、
「ふーん、変わってるねー」
と無邪気な顔で戻っていった。
私の性癖が、園児という最も無垢な第三者に、最も無邪気な支配者によって、公然と暴露された。
公衆の面前で性癖を暴かれるという、究極の屈辱と快感の波に、私は身を震わせるしかなかった。
私は、三人の支配者に完全に囲まれたこの園で、
「年下に叱られる変態」というアイデンティティを、
もう二度と覆せない公然の事実として受け入れた。
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